アリ・アブドラ・サレハ氏は、旧北イエメン共和国(イエメン・アラブ共和国)の陸軍総司令官を経て北イエメン共和国大統領となり、 1990年の南北イエメン統合にともない、初代大統領に就任した。その結果、北イエメン時代を含めれば1978年から2012年まで34年間にわたり国家指導者の立場にあり、在任年数で赤道ギニアのテオドロ・オビアン・ンゲマ大統領をしのいで、2012年2月の退任時点で、共和制度の政治体制にある国における世界最長政権を率いる人物であった。
イエメン南部タイズで2012年4月22日、サレハ大統領の全面退陣を求めて、大きな国旗を広げるデモ参加者たち=AP。同25日付朝日新聞から。
1962~90年の北イエメンの国旗
1967~90年の南イエメンの国旗
しかし、「アラブの春」はアラビア半島唯一の共和政治を行うイエメンにも吹き荒れ、2011年12月22日からは事実上、副大統領のアブド・ラッボ・マンスール・ハーディーに大統領権限を移譲した。ただ、サレハ氏は現在も軍人としては元帥であり、国民全体会議党首として、依然、一定の政治的影響力を保持しているようだ。
Joyphoto.comより、サユーンで掲げられた大きなイエメン国旗。寸法は不明。
当時の朝日新聞(4月25日付朝刊)に掲載されている写真が興味深い。寸法がわからないので正確にはいえないが、もしかしてこのモノクロ写真の国旗が、これまでの世界最大の国旗かもしれない。
ところで、この旗、このあとどうするのだろう、と老生はつまらぬ心配をする。
もしかして、小さく切ってそれぞれの国旗にするのかもしれないがそれでも大きすぎるので、結局は、もとの3色ずつの布に戻すのではないだろうか。
国を護る、そのためにはサレハ大統領はもういい、全面的に退陣せよ、そういう気迫がこもっているように見えるが、どうやら依然、結構、影響力を保持しているようだ。
さてはて、横三色旗の場合は、ひたすら繋げていけばいいわけで大きな国旗を作ることが比較的易しい。
逆に、「日の丸」を大きく作ることはほとんど不可能だ。おかげで、これまでどの政権も巨大な「日の丸」を掲げたデモに追い込まれたことはない。