中国の北京市公安当局は10月30日、同市中心部の天安門前に車が突入、炎上した事件の共犯容疑で5人を拘束したと発表した。これについて10月3日付の日本経済新聞は北京の島田学特派員の次の記事を掲載している。
新彊ウィグルと呼ばれる東トルキスタンの旗。
1933年以来、独立運動ではこの旗が掲げられる。
当局が公表した実名からは、いずれもウイグル族とみられる。今回の事件を計画的な「自爆テロ」と断定。当局は新疆ウイグル自治区の分離・独立を目指す組織が関わっているとみて、引き続き捜査を進める。
中国メディアによると、28日に天安門前に車で突入して死亡した3人は、ウイグル族とみられる夫婦とその母親。車内からはガソリンや刃物などのほか、イスラム原理主義の教義を書いた旗が見つかった。当局は3人が天安門前の橋の欄干に車を衝突させた後、ガソリンに火をつけたとしている。
当局は、車で突入して死んだ3人を除く5人を容疑者として北京市内などで行方を追っていた。拘束した容疑者の居住地から「聖戦」を意味する旗が見つかったとしており、ウイグル独立派組織が関与したとみている。
共産党の習近平指導部は今回の事件を機に、ウイグル族だけでなく、体制に批判的なチベット族や人権活動家などへの取り締まりをさらに強めそうだ。
ただ、中国政府によるウイグル族への抑圧が今回の事件を引き起こしたとの批判も多い。
私が気になるのは、この記事の最後の部分。中国政府か過剰な取締りで、少数民族の人権を抑圧しているのではないかという疑問についてである。
以前、ウイグル族の世界的リーダーの一人を招いて講演会を行ったことがある。青い目に白い肌。名前も顔も言葉も、漢族とはまるっきり違う。こうした講演会の場合でも、通訳をしてくれた同族の留学生が、帽子かぶりサングラスをかけるなどして、顔が判らないようにし、名前も漢族のような変名にしていたのが印象に残っている。
中国が世界有数の国家、主導的な国に成長しつつあるときに、格差、差別、抑圧、不正、汚職、独裁…といったまがまがしい言葉がその第一印象にならないように期待している。
東トルキスタンの旗は、「青い旗」(キョック・バイラックKök Bayraq)と呼ばれる。イスラム教徒が圧倒的に多い国の国旗に青が用いられるというのは大変珍しい。しかし、新疆ウイグル自治区では、「青い旗」掲揚は厳しく禁じられており、発覚した場合は即座に逮捕され、禁固刑などの厳刑に処せられる。