女子フィギュアでキムヨナや浅田真央らを破り優勝したアデリナ・ソトニコワ(ロシア)選手。「逆転はできると思っていた。ソチで勝つことは夢だったので幸せ。あしたメダルを受け取って、それが現実になる。ロシアにすてきな贈り物ができた」。
自慢ではないが、私は犬と電気と美人に弱い。幼児、雪の秋田で深みに落ち、犬が穴に向かって吠えたまでは覚えているが、後は記憶がない。食い付かれる寸前だったと、以後、アラフォーまで思いだしては身が震えていた。典型的なトラウマだった。また、電気のように見えないのにいろいろのことをしでかすものには怖くて手が出ない。いや、見えていても美人にはとんと手が出ない(ことになっている)。
話は変わるが、1980年、ポル・ポト政権崩壊後のカンボジアに、今、日赤の社長をしている、畏友・近衞忠煇氏(当時・外事部次長。細川元首相の実弟)を誘って、ジャーナリストを除く最初の民間人として訪問したとき、プノンペンでもコンポンチャムでも、どこにも1匹の犬もいなかった。そのことが、100万人以上も殺された直後の国を訪問する上で、私はにはなんと心安らかだったたことか。
そこで、落ち着いた気分で幼児のときのことと犬のいない国について考え、2つのことに気が付いた。第1は、秋田での犬はもしかして、「ここに子供が落ちたぞぉ!」と知らせるために吠えたのではないか、第2については、これは食糧に困って、イヌが全部食に供されたからなのではないかということだ。
以後、犬を見ればこの2つのことを思い起こし、複雑な思いのまま、今でも、敬遠することには変わりない。そんな私の眼に、次の記事が入っていた。2月21日付、産経新聞電子版。見出しはなんと「街から消えた野良犬はどこに? あの国に売り飛ばされるの書き込みも
というのだからセンセーショナルだ。
ソチ近郊の施設に収容されている野良犬(2月8日)=ロイター
ソチ冬季五輪も終盤。ここへきて各国メディアや観戦客の間で話題となっているのが、ソチ名物(?)でもあった野良犬たちの行方だ。ロシアのプーチン大統領が「安全な五輪を保証する」と約束し、厳重な警備体制が敷かれたソチ五輪。そんな中で関係者の頭を悩ませていたのが野犬の群れだった。海外メディアによると、その数は数千匹とも。とにかく、ソチの町中が野良犬だらけ。
ついには、子供がかまれるという事件も起きた。狂犬病の懸念もあることから、ロシア当局も事態を重視。民間の駆除会社にも依頼して、大がかりな“野犬狩り”に乗り出した。
その結果、野犬の数はみるみる減り、五輪開催中はほとんど野良犬の姿を見かけることはなくなった。ロシア当局が威信をかけた(?)“野犬掃討作戦”が功を奏した格好だが、今度は逆に、忽然(こつぜん)と野良犬が姿を消してしまったことで、海外メディアから「あの大量の野良犬たちはどこへ行ってしまったのか? 殺処分されてしまったのではないか?」との疑問の声が上がりはじめた。
これに対してロシア当局は「野犬はしかるべき施設で保護されている」と釈明。“野犬大量虐殺疑惑”を否定した。
如何に犬嫌いな私でも、これは「ソチの犬じゃ、連れ戻して参れ」とロシア政府に言いたいが、すると、「殿、それは“犬”当違いの無理でござる」と返事が来そうだ。どちらも困るのが私のホンネ。「中“韓”どちらか真ん中が正解では」。
おあとがよろしいようで。