私は1970年代の初めから、北方領土返還要求運動に深く携わってきました。その詳細は別の機会にしますが、北方領土の祖国復帰を願い、関連するさまざまな運動に加わりながら、100回以上、ソ連・ロシアを訪問し、10回以上、北方領土にも行っています。
また、独立行政法人北方領土問題対策協会の4島交流推進全国会議の委員(副会長)として、同会議の設立以来15年、務めました。1993年に始まった「ビザ(旅券)なし」訪問以来、何度も、北方領土の島々を訪問しています。
択捉島紗那の芸術学校前に飾られた万国旗。2010年8月1日撮影。
ところが、2010年8月の択捉島での交流集会でこんなことがありました。
7月31日、快晴。紗那の芸術劇場前広場で、歓迎交流集会があり、玄関の上から左右に、「万国旗」が飾られていました。私はいきなり地元紙「赤い灯台(クラスナヤ・マヤーク)」の旧知の記者のインタビューを受けていましたので、遠くからしか見えませんでしたが、そこは「専門家」、「日の丸」がない!ことにすぐ気づきました。
インタビューを中断して、その老記者に、「これはおかしいよ。交流だ、友好だ、歓迎だと言いながら日本の国旗を外すとは不愉快だね」と伝えました。
諸行事はそのまま進行したのですが、最後にいかにも地元の世話役さんと言うロシア人中年女性(典型的なロシアを代表する体型のおばさん)が、やおらマイクを奪い、「ここに並んでいる20数カ国の国旗の中に皆さんの国旗がない。申し訳ない。お詫びします」。
当たり前のことですが、ロシア人も言えばわかるし、謝ります。どうやらこの年のそれまでの「ビザなし訪問」でもこの「万国旗」は使われていたようです。みなさん、こういうことにはきちんと対応しようじゃありませんか。これが日本人としての矜持というものではないでしょうか。