最近は、さすがにそんな単純な人は随分少なくなりましたが、「社会主義や共産主義を標榜する国は平和勢力で、民主主義や資本主義、自由主義、市場経済を国是とする国々は、帝国主義的侵略国で、戦争志向の国」といった、今ではとても信じられないレッテルを貼ることが、戦後の日本ではなぜか、ずうっと常識であるかのように言われていました。とんでもない間違いです。
英米仏の原爆実験には反対しても、ソ連や中国の核実験は「平和のためのもの」といって拍手さえしていたのですから、驚きです。
我が決して忘れることができないのは、アジアで初めての開催である東京オリンピックの最中に、中国が初の核実験をしたことです。古代ギリシャではオリンピック開催期間中は武器を置いたというのに。
コンゴ人民共和国(1970~91)の国旗(旧フランス領)
ソ連の国旗を例に見てみましょう。この旗は農民を表わす鎌と労働者を表わす槌が交差し、その上に、五大陸に共産主義を広めようという、黄色でふちどられた赤い星でした。この旗を掲げるソ連もまた、1969年に珍宝(ダマンスキー)島の領有権をめぐってソ連国旗の影響を大きく受けた「五星紅旗」の中国と殺し合いをしましたし、中国は、朝鮮戦争を始め、インド、ベトナム、台湾、ソ連など周辺諸国と戦火を交え、チベットに軍事侵攻しました。
その中国は1989年に「膺懲」と称して(懲らしめてやるといって)「金星紅旗」のベチナムに武力侵攻を企て、敗退したのです。
国旗から見るとソ連、中国、ベトナム、ポル・ポト政権のカンボジア、みんな赤旗なんです。そういえば、代々木の日本共産党本部。今でも大きな赤旗を常時、屋上に掲揚し、新年にはその旗をもって「党旗開き」をし、機関紙の題字は「しんぶん赤旗」ですよね。世界の国旗を見ても、冷戦での東側の敗戦を受け、赤旗を中心とする共産圏らしい国旗は激減し、いまや中国とベトナムだけになりました。
中国の共産党や北朝鮮の労働党は一党独裁の党であり、他の政治組織をいっさい認めないというものです。もし、日本共産党がそういう国々の党と違うというのなら、なぜ、党名を変更しないんでしょうね。なぜ、党旗を旧態依然の赤旗、党章は赤字に農民を表わす稲と労働者の歯車のままで、機関紙の題字を変更しないんでしょうか。
ちなみに、この稲と歯車、ミャンマーの軍事政権が2010年まで掲げていた国旗とも同じです。