ロムニー候補が蓄財したケイマン島

10月20日に、国際通のジャーナリストP氏からいただいていたメールです。

米大統領選は先週も、先々週も問われたのでオバマが勝つであろうと勝手な理由づけをして話しまわっています。

ロムニーが勝利した場合アメリカはさらに悪くなるとみています。少なくとも最初の2年間は。

日本のことなど全く分かっていません。(尤もブッシュ政権以来のネオコン人脈が再びホワイトハウスに戻って盛んにレクチャーをするかもしれませんが)

彼は私生活面で中国への相当額の投資だけでなくケイマン島などタックス・ヘイヴンへの資金逃避も相当のものです。

彼は自国の安全保障も彼の利益、金次第ですから。

オバマ大統領が選出された前回(2008年)の大統領選挙でWASP(White, Anglo-Saxon, Protestant)がアメリカの基準であり、価値観であり、文化であるという社会状況は大きく変わり、世界にアメリカを再認識させたというのが私の印象でした。

今回の大統領選挙では、その直前に私自身、米・西海岸を訪問したこともあって、アメリカ社会の中核にcoloredの占める大きな部分があって、社会そのものをしっかり支えている存在であることを、今更ながら確認し、また、ロムニー候補しか立てられなかったWASP中心の共和党の限界を見る思いがしました。

アメリカという国のこうした健全な発展は、いつの日か訪れるであろう「グローバル国家」「世界連邦」、EUならぬWU(World Union)を想像することに繋がります。

ところで、P氏がいう、ロムニー候補の私財がケイマン島などタックス・ヘイヴンへ逃避しているという、このケイマン島。一般的な日本人にはあまりなじみのない島ですが、お金持ちには実によく知られたカリブ海に浮かぶ英国の海外領土です。

クリストファー・コロンブスの4度目の航海中に発見されました。1503年5月10日のことです。無人島でウミガメがたくさんいたことからスペイン語でウミガメ(複数)を意味するLas Tortugasと命名されました。

しかし、発見当時、アメリカワニも多く生息していたことから、カリブ・インディオの言葉でワニを意味するCaymanas(ケイマナス)と言う名でも呼ばれるようになり、それが現在の英語表記「Cayman(ケイマン)」の名の語源になっているのです。

スペインの勢力が急速に衰えた17世紀の1655年、オリバー・クロムウェル率いるイギリス海軍が同じくスペイン領だったジャマイカを奪い、1670年のマドリード条約でジャマイカとともにイギリス領となったケイマン諸島です。そうした古い経緯と地理的位置関係から1961年に英領西インド連邦が結成され、1962年にジャマイカが独立するまでは、ジャマイカとケイマン諸島は一つの英国海外領土として統治されていたのです。

その後、海賊がケイマン諸島に侵入し、ケイマンブラック島にある洞窟に財宝を隠したと言われ、ロバート・ルイス・スティーブンソン作『宝島』のモデルにもなったとされています。


ケイマン諸島の旗

ケイマン諸島の国旗は英国のBlue Ensignに紋章を付けたものです。Blue Ensignはもともと英国の商船旗。いまでもオーストラリア、ニュージーランド、ツバル、フィジーの国旗に見られます。もちろん、今でも残っている英国の領土の旗の多くに用いられ、紋章で区別されています。

ケイマン諸島の旗の紋章の上部にはウミガメが、下部には西インド連邦時代の旗にもあった、カリブ海を表す波型が描かれています。そして3つの星は、ケイマン諸島が西からグランドケイマン島、リトルケイマン島、ケイマンブラック島の3島から成っていることを表しています。また、最下部には”He hath founded it upon the sea”の一句が描かれています(hath はhaveの直説法三人称単数現在形)。Heはこの島の発見者であるコロンブスを指すと思われます。

ケイマン諸島の主要産業は観光で、スキューバダイビングの名所として知られています。

同時に、P氏からも指摘されているように、ケイマン諸島はタックス・ヘイヴンであるため「オフショア・バンキング」(非居住者向け銀行サービス)も盛んで、ここを形式的な本拠地とするいささか不透明な金融業も多いのです。このため、租税の回避やマネーロンダリングにこの正体不明な金融取引業者について、OECD(経済協力開発機構)は情報公開を強く求めています。しかし、いまや「ケイマン」オフショアの代名詞とされています。ケイマン諸島の銀行は、フルバンキング(ユニバーサルバンクは)サービスを提供するバターフィールド銀行のような「Aカテゴリー銀行」と、オフショアバンキングサービスを提供する「Bカテゴリー銀行」に分けられます。そしてタテマエ上、ケイマン法人を設立し、ケイマン諸島の銀行に法人口座を開く場合は、ほとんどの場合、Aカテゴリーの銀行を選択することになりますが、そのあたりについてさまざまな噂の絶えないのがこの「オフショア・バンキング」なのです。

健闘すれども敗れたロムニーさん、さて、これからはどうするのでしょうね。

そうそう、それと中国の温家宝首相、噂の蓄財はもしかしてケイマン諸島がらみではないでしょうね。

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