独立の是非を問う住民投票が2014年に予定される英スコットランドでは、独立派スコットランド民族党のサモンド党首が「独立後も英国王にスコットランド国王を兼ねてもらいたい」と表明。だが党内外から「王室を維持するかどうかも住民投票で問うべきだ」との声が出ている。
英国王が「兼務」するとなっても、現在の英国旗ではイングランドの白地赤十字の聖ジョージ旗がスコットランドの旗を横断している形のこのデザインには不満なスコットランド国民は少なくないので、国旗の行方には、いろんな問題が微妙に絡んできそうだ。
英スコットランド行政府のサモンド首相は12月25日、スコットランド議会で、英国からの独立を問う「歴史的」な住民投票を2014年秋に実施するための行程表を明らかにした。
まず、住民投票に向けて同議会などで議論を深める。
独立に反対しているキャメロン英政権は独立に賛成か反対かの二者択一の投票方式を迫っている。
これに対し、サモンド首相は「住民投票の実施権限はスコットランド行政府にある」として1問目は二者択一にするが、2問目で同行政府の自治権限をさらに強化することへの賛否を問う二段階式を提案するとみられる。
スコットランドでは昨年5月の議会選で、サモンド首相率いる地方政党スコットランド民族党(SNP)が住民投票実施を公約に掲げ、改選前の議席を大幅に上回る過半数を獲得、歴史的勝利を飾った。
スコットランド住民の7割超は住民投票実施に賛成しているが、英日曜紙サンデー・テレグラフの世論調査では独立すれば英政府からの交付金が打ち切られるなどとして反対が43%と賛成の40%を上回っている。
スコットランドの国旗は青地に白の聖アンドリュー(聖アンデレ)の十字。これは、X字型の十字架にかけられて殉教した、十二使徒の一人でスコットランドの守護聖人である聖アンドリューを象徴している。現に用いられているものとしては世界最古の国旗とされる。すなわち、809年、スコットランド系ピクト族の王フングスが、イングランド系の西サクソン王アセルスタンに攻められ、このとき、援軍に駆けつけたスコットランド王アカイウスが決戦の前夜、聖アンドリューの十字架の夢を見て励まされ、翌日の戦いを大勝利荷導くことができたというのだ。
現在でもFIFA(国際サッカー連盟)にはイングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドの「4ヶ国」が個別に加盟しているため、聖アンドリューの十字旗はFIFA主催のサッカー国際戦に他の国々の国旗同様、掲げられている。