東京・虎の門の文部科学省の真向かいにあるのが、「毎度お世話になっているTOTO」のショウルーム。受付嬢に「東京オリンピックのときの日の丸と長野オリンピックの日の丸では白が違うんです」と申し上げたら、「私どもでも白では研究所のスタッフがいろいろ工夫をしています」と、気持ちいい返事。
実は、長野冬季オリンピックのとき、顧問として式典(国旗)を担当していた私は、「日の丸」の白をどうしようか悩んだときにも、このTOTOのお店を訪ねて、ヒントを得たのだった。
TOTOでは、今、こんなにも多くの「白い」ナニを生産・販売している。見本で見ると同じ名前でも記号が違うと微妙に雰囲気というか色調が違っている。
- ホワイトグレー #NG2
- クリスタルスノー #CR1
- パラダイスホワイト #369
- ステラパール #SPW
- ステラホワイト #SN2
- ムーンホワイト #MNN
- ブリリアンホワイト BRW
- シャインホワイト SYW
- ミストホワイト #NG1
- ホワイト #NW1
- パステルアイボリー #SC1
- クリスタルスノー CR11
- グラニットホワイトストーン GN11
- パルフェホワイト PA11
- パルフェソフトアイボリー PA12
- オニックスホワイト NX11
- サガンホワイト SG11
- ホワイトグレー #NG2
- パステルアイボリー #SC1
- ホワイト #N71
- ルナクリスタルホワイト CL11
- クリスタルソリッドホワイト CB11
- オニックスゼブラホワイト NX12
- ホワイト NB11
長野オリンピックでは背景が雪と氷なので、「日の丸」の白の白度を上げるということをした。つまり、より真っ白にしたのである。東京オリンピックの時は、風合いを重んじ、ややアイボリー系の白を採用した。しかし、それでは冬季オリンピックではややくすんで見えるのではないかと、当時のTOTOの方との話でヒントを得、長野オリンピックでの「白を決めた」のだった。
かくして、東京・長野両オリンピックは「日の丸」の白の色調を変えたのだが、もうひとつ、赤い円の大きさも、東京大会(1964)では縦の5分の3、長野冬季大会(1998)では3分の2にした。
長野オリンピックの翌1999年、国旗国歌法審議にあたって、私は衆議院内閣委員会に招かれ、参考人として口述した。元長野冬季オリンピック組織委員会式典担当顧問という肩書きだったので、両大会で一番困ったのが「日の丸」の製作だったという点をしっかり話させていただいたのだった。