時事通信電子版が5月19日伝えるところによると、ベトナムの正式国名「ベトナム社会主義共和国」から「社会主義」の4文字を削除する案を国会で審議することになった。
南ベトナム解放民族戦線の旗。ベトナム戦争の末期には、北ベトナム正規軍がこの旗を掲げて偽装した。サイゴン陥落の日に南ベトナム大統領官邸のバルコニーで兵士によって振られたのもこの旗。
しかし、統一後、同戦線出身とされた要人たちのほとんどが権力の座から遠ざけられた。
ベトナム共和国の国旗
【ハノイ時事】ベトナム国会が20日、開幕する。焦点の一つは1992年憲法改正案の審議で、国名を「ベトナム社会主義共和国」から「民主共和国」に変える案も話し合う。市場経済化に取り組む共産党一党支配の国が、世界でスリランカと2カ国だけになった「社会主義」の看板を外す可能性が出てきた。
ベトナムでは第2次世界大戦で日本が降伏した1945年9月2日、ホーチミンが「ベトナム民主共和国」の設立を宣言した。これに対し、ディンビエンフーの戦いでフランス軍を破ったのち、ジュネーブ協定により南北が「暫定的」に分断されることになり、同年10月、ゴジンジエムが北緯17度線付近からの南半分に「ベトナム共和国」を樹立した。
長いベトナム戦争の最終段階になって、北ベトナムの怒涛の攻撃で1975年4月30日、サイゴンが陥落、「ベトナム共和国」は壊滅した。南北統一からほどない1976年7月2日、 ベトナム民主共和国はベトナム社会主義共和国と改名し、今日に至っている。
しかし、80代後半からのドイモイ(刷新)政策は、およそ社会主義による経済運営ではなく、中国同様、一党独裁による自由主義経済化しつつある。
さて、国名の行方を考えると、もしかして、ベトナムはいかにも社会主義国らしい今の国旗のデザインを変更するかもしれないのではないか。
これからのベトナム国会の審議に注目する必要がある。