7月28日、西アフリカ中央部のマリ共和国で大統領選挙が行われる。昨年春の軍事クーデターとイスラム系武装勢力による北部の占領に対し、旧宗主国であるフランスは今年1月にマリ政府の要請と近隣諸国の期待を受けて軍事介入し、混乱の鎮圧にあたったが、今回の大統領選の実施は、事態の平静化がどこまで進んでいるかの試金石となるので、各国から注目されている。
7月27日のパリ発時事は、次のように伝えている。
大統領選には、立候補を取り下げた1人を除き27人が出馬。過半数の票を得る候補が不在の場合、上位2候補による8月11日の決選投票に決着が持ち越される。
マリでは26日で公式の選挙運動が終了。欧州連合(EU)が派遣した選挙監視団のミシェル団長は、AFP通信などに「受け入れられる状況と条件で選挙が実施され、不正などもないと確信している」と述べた。
現地からの情報では、イブライム・ブバカル・ケイタ元首相(68)とスマイラ・シセ元財務相(63)が優位に選挙戦を進めているもよう。また、モディボ・シディベ元首相(61)、有力政党マリ民主同盟(ADEMA)公認候補のドラマヌ・デンベレ氏(46)も上位をうかがっており、得票が過半数に達する候補は出ないとの見方も出ている。
焦点の一つが投票率だ。軍政が長く続いたマリでは国民の政治参加意識が低く、過去の大統領選はほとんどが投票率30%未満。投票率が比較的高かった北部では今回、武装勢力による占領と仏軍介入による混乱で多くの住民が居住地を追われ、正常な選挙実施が危ぶまれている。