韓国さん、話が切なくなってきましたね

報道によると、韓国の与党セヌリ党の国会議員10人が9月23日、韓国内で旭日旗を掲げることを禁じる刑法改正案を国会に提出した。

韓国国会の法制司法委員会によると、改正案では、旭日旗など「日本の帝国主義を象徴する物」を韓国内で作ったり、「公衆が密集する場所」で使ったりした場合、1年以下の懲役か300万ウォン(約28万円)以下の罰金が科される。議員らは提案理由として、「戦犯旗(旭日旗)への国際社会の認識を変え、韓国の青少年に正しい歴史認識を育成するため」だそうだ。


西南戦争時の城山の戦闘を描いた錦絵。旭日旗は中央政府の陸軍旗。

朝日新聞大阪本社の社旗

朝日新聞東京本社の社旗。

そんな中で、ソウルの黒田勝弘産経新聞特別特派員の記事は、ベテランらしいサビの利いたすばらしいコラムを書いている。9月28日付の「切ない旭日旗騒動」。短くも堂々とした説得力のあるものだ。

ソウルをはじめ韓国には道路の交差点が放射状になった「ロータリー」がよくある。日本統治時代の都市計画の名残だろうか、ソウル都心でも市庁前や大学街の新村(シンチョン)、再開発が進んでいる孔徳(コンドク)などの五差路はロータリーと呼ばれている。

そんな中で韓国最大の桜の名所として知られる鎮海(チネ)(昌原(チャンウォン)市)のロータリーについて、実は日本統治時代に軍艦旗(旭日旗)をモデルに放射状に造られたとする説があると、地元で聞いたことがある。鎮海は今も昔も軍港で春の桜祭りは「軍港祭」と言っているが、“ロータリー旭日旗説”には証拠はないため、韓国でよく耳にする「日帝(日本帝国主義)伝説」の一つといっていい。

最近、韓国では朝の陽光をデザインした旭日旗を日本軍国主義の象徴だといって騒いでいる。日本と戦争した米国はもちろん中国だってそれほど関心はないのに、日本と戦争したわけでもない韓国だけが気にしているのがどこか切ない。

この“旭日旗反日ブーム”に便乗した国会議員が、旭日旗を使うと法律で処罰するという法案を国会に提出した。「旭日旗模様を社旗にしている朝日新聞ソウル支局は困るよ」と韓国の新聞もからかっているが、いっそのこと鎮海市街地のロータリー大改造をぶち上げた方が話題になるのではないか。

鎮海は日本に最も近い軍港。文禄・慶応の役では豊臣軍はここに向かったし、バルチック艦隊を迎えた日本軍の一部はここから出港した。

「坊主憎けりゃ袈裟まで」のクチで、どうも最近の韓国の騒ぎ方は異常としか思えない。そんな中での「対馬から盗んだ仏像」の返却について、韓国の文相は先週、ようやく少しまともな発言をした。ロンドンの大英博物館、パリのルーブル博物館、ワシントンのスミソニアン博物館…、ギリシャ・ローマ時代のものは言うにおよばず、エジプト、メソポタミア…日本からのものもある。

これらを入手経路に関わらず、「母国」に返還するなどということは、事態を混乱させるだけである。韓国も本気で単なるドロボーを愛国者に仕立てるなら、世界中に散っている韓国系美術品を国家事業として全部、盗んできたらいい。

ところで、これは個人的な経験だが、モスクワの東洋学研究所で私はニーチェ、カント、ハイデガーなどのドイツ語による初版本を含む書籍や美術品がずらりと並んでいる会議室でシンポジウムをしたことがある。「この本は全部、第2次世界大戦の戦利品としてベルリンから運び込んだものだ」と女性の副所長が胸を張って話していたのが思い出される。

そのときはなぜか不愉快な気がしたが、「ドイツからは一度も返還の要請はない。個人的にはこの研究所とはあまり縁のない本ばかりなので、そろそろドイツに返すか、レーニン図書館にでも渡すべきかなとも思う」との副所長の発言に、なんとなく共感するものがあった。今のままでは単なる「宝の持ち腐れ」でしかない。

対馬のお寺がどういう経緯でその仏像を入手したか知らないが、最大限、韓国のドロボーの気持ちを忖度しても、いずれにしても話は時効であり、韓国側に請求権はない。

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