1958年のアジア大会に間に合わせて建て替えた現在の国立競技場(東京・千駄ヶ谷)を全面的に建てかえる話が賛否の話題を呼んでいる。
建築家ザハ・ハディドさん
Japan Sports CouncilのHPから
現在の国立競技場は1958年アジア大会では中華民国(当時は国連安保理常任理事国)の国旗を逆掲揚(詳しくは拙著『「日の丸」を科学する』から参照)した場所。このことが一因になって、私の東京五輪への専門職員としての採用が決まったと聞かされている。
今度は2020年の次期東京五輪のメイン会場になり、2019年のラグビーW杯に間に合うよう建て替えの予定である。
新国立競技場のデザインはコンペにより、2012年11月に応募件数46からイラク出身のイギリス在住建築家ザハ・ハディドさんの案の採用が決定している。この女性は2004年に建築のノーベル賞と言われるプリツカー賞を受賞し、多摩美術大学の飯島洋一教授(環境デザイン学)によれば「世界の十指に入る建築家」。但し、飯島教授は新国立劇場のデザインについては神宮の森の中に奇抜な姿がデント建つのは浮いているようなもので、「駄作だと思う」と発言している(週刊新潮)。
加えて、9月23日付東京新聞は1面トップで、建築家の槇 文彦氏(85)が「計画の大幅な見直しを求める」という論文を発表したと報じている。「このままでは神宮の森の美観を壊す」という趣旨だ。槙氏は1964年東京五輪の際、屋内競技場や都庁の設計者として知られる丹下健三の弟子(日本人ではこの指定のみプリツカー賞を受賞)で、「モダニズムの旗手」といわれ、代官山ヒルサイドテラス、幕張メッセ、名古屋の豊田ビルなどの設計者として著名な人。
このほか、想定されている1300億円では賄いきれないのではないか、屋根の重量を支え切れるのかといった危惧の声も出ている。
私としては専門家に議論を尽くして決定してほしいというほかない。但し、国旗の掲揚に関わることなら、私は専門家としていろいろな意見や案がある。間違えても逆に揚げられることのないよう工夫が必要だ。また、2020年の五輪なら、国旗を電子的映像でどう扱うべきかもさまざまな案があって当然であろう。