小欄ではどうも、NHKをあまり褒めて来なかったようですが、さきほどお越しくださったMさんというドラマ番組部の女性はすばらしい方でした。好評の「八重の桜」のスタッフのひとりで、1885(明治28)年当時の、露、独、仏三カ国の国旗を確認してくれという申し出でした。
ロシア帝国の国旗
ドイツ第2帝国の国旗
フランス第3共和国の国旗
これってなかなかご理解いただけないかもしれませんが、結構難問なのです。今に至るこの128年間に、「ロシア革命」でロシア帝国は壊滅し、1991年にはソ連邦も崩壊し、大略、国旗はその都度変更になりました。
ドイツ帝国もしかりです。第一次世界大戦の敗戦でワイマール共和国となり、1933年のナチス政権により、ハーケンクロイツ(鍵十字)が国旗になり、第2次世界大戦後は東西ドイツとなり、1990年にはそれが再統一されるということで、ドイツ国旗にも有為転変があります。
フランスの国旗も、青白赤の立て三色旗が当時はしばしば30:33:37に分割され(今はそれが海上用国旗)、1946年のフランス第4共和国憲法で「三等分」となり、1958年の現行憲法ではその「三等分」という言葉が削除されています。
影響力の大きいテレビ番組の制作に当たり、それぞれの専門家を活用するというのは当然ですが、NHKでさえ、実態はしばしば失態を重ねてきました。このMさんの姿勢を私は高く評価します。懇切丁寧にご指導申し上げました。「八重の桜」は鶴ヶ城(会津若松城)陥落のシーンでも、白旗を正しく使っていました。ドラマはいよいよ佳境に入ってきましたが、これからも楽しみです。
ちなみに、この3カ国の国旗は12月15日の「八重の桜」最終回に登場します。それ以上の詳しいことは小欄で紹介すべきではないと思いますので、省かせていただきます。