<250名を超える卒塾生は、塾で培った「志」を原点に、政界はじめ様々な分野で必死に活動を続けている。グローバリゼーションの荒波の中で、さらに日本が漂流している現状を鑑みると、いよいよ、松下政経塾の歴史的使命の真価が問われる時が近づいているように思う>と唱う松下政経塾を、9月6日、久しぶりに訪問した。ユーラシア21研究所との共催による6回目の安全保障外交セミナーを開催したからだ。
松下幸之助の理想をもとに創立34年、総理大臣をはじめ多くの政治家や各界で活躍する人材を生んできたし、わが友人も大勢その中にいる。
しかし、最近の低調ぶりはいかがなものか。パナソニックの経営が苦戦中とはいえ、ここ数年は在籍年数も縮んだり伸びたり、在籍定員もいまや4人(現在はフランス大使館から一人出向中でたまたま5人)を常態とするほど少なくなった。しかし、施設はこの門、塔、講堂などいずれも立派である。塾生が減っているため冷房もないまま閉じている個室も少なくないとのことだが、門頭には堂々と国旗「日の丸」と塾旗が掲揚されている。塾としての「志」は立派に輝いている。
<常勤の教員なし、カリキュラムなし、あるのは「志」のみ>というのはいいが、民主党政権の崩壊(同党右派に卒業生が多い)、パナソニックの退潮とともに、これでは不要論や「奨学金付の学生寮」に形骸化すると危惧する声を聴くのもムべなるかなである。
古山和宏塾頭は同塾3期生、慶應義塾大学ではた神谷不二教授のゼミ生だったと言う。私も長年、神谷先生とは昵懇にしてき、今またご令息の神谷万丈防衛大学校教授とは同志というべき付き合いだが、不二先生のゼミ出身者にも各界に気鋭の士が大勢いる。経営の難しさは重々解るが、ここは心機一転、松下政経塾の全卒業生の力を結集して再興を期してほしい。