ソチ五輪の聖火、北極点に到達① 国威発揚を掛け、難所をさらに巡回

ロシアのソチ冬季五輪組織委員会は10月25日、五輪の聖火が北極点に達したと正式に発表した。聖火は原子力砕氷船「戦勝50年」号で15日に北極海に臨むロシア北部のムルマンスクから運び出され、91時間をかけて北極海を2500km北上し、19日までに北極点に到達した。現地は昼がない極夜の時期に当たっていた。五輪聖火が北極点でともされたのは初めて。聖火リレーはモスクワで今月7日から始まり、1万4千人のランナーによって運ばれる。


北極点に到達した聖火は北極海沿岸諸国の国旗に囲まれた。
どこの国の国旗か判りますか? 正解は次回に。

今回の聖火リレーはロシアの国威をかけたもので、五輪史上でも最大規模。走者は人間だけでなく、飛行機、船、雪上車、犬ぞりに鹿ぞり、「ロシア式トロイカ(3頭立て馬車)」も活用された。聖火はこのあと、世界で最も深いバイカル湖の湖底、ヨーロッパの最高峰でもあるエルブルス山頂(標高5,642m)、そして宇宙空間などにも到達する予定だ。

バイカル湖は世界の淡水湖中、面積はスペリオル湖に次ぐが、最大水深が1,634~1,741m とされ、世界最深い。このため貯水量23×104km³は世界最大であり、世界中の淡水の17-20%バイカル湖にあるとされる。水質の透明度も日本の摩周湖をしのぐ世界最高であり、湖面は標高456mにある。1996年に世界遺産に登録されている。

第二次世界大戦中の1942年、ブラウ作戦により南下してきたドイツ軍山岳部隊が登頂した。その際、ソ連軍の山岳部隊と交戦する。この登頂は本来の軍事作戦と関係がないことから、ヒトラーは激怒し、部隊の責任者であるヴィルヘルム・リスト元帥の解任の一因とされている。結局、同年末ドイツ軍は山岳地帯から撤退し、山頂に残っていたドイツ国旗(鍵十字旗)は、ソ連軍によって撤去された。

11月7日には若田光一さんが搭乗するソユーズで、トーチを国際宇宙ステーションに運び、9日にロシア人飛行士が携えて宇宙遊泳する。

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