万国旗の中の旭日旗は不適切

目黒区下目黒で、というより目黒通りに面した歩道上に飾られた万国旗。秋晴れに映え、思わず前回の東京オリンピック当時を思い出した。

組織委で国旗を担当していた私は、当初、大西造花装飾株式会社が東京中に、ビニールに印刷した万国旗を飾るので監修してくれと依頼してきたとき、ビニール製の万国旗の質や品を考えて、丁重にお断りした。しかし、同社の寺岡三孔常務取締役の熱心さと、東京の主な商店会や町会と話を付け、このままでは、間違えた国旗や古い国旗が東京中に並び、どんなトラブルになるか判らないと危惧し、上司とも相談した結果、個人的に全面協力し、大日本印刷株式会社もまた、当時としては、というより、半世紀を経た今でも最高といえる技術を駆使して、東京五輪全参加国を網羅した万国旗を製作した。

大西造花の社史を読むと、まるで私の協力があって、浅草橋に立派なビルを建てたと言わんばかりの記述があるが、それはオーバー。窮余の一策として、お手伝いした結果に過ぎない。

ところで、一週間ほど前、目黒通りを通りかかったところ、当時よりお粗末な印刷で作られたビニール製万国旗(といってもせいぜい12,3カ国か)を見た。

第一の問題点は、その中に国連旗が(おそらくは許可を得ず)含まれていること。国連旗は厳格なcodeがあり、こういう装飾ではます許可が下りることはあり得ない。オリンピック・シンボルも同様に、IOCの許可なくしては使用できない。

第二の問題点は、どうして旭日旗が混じっているかである。これは現在海上自衛隊の旗となっており、いうまでもなく旧帝国海軍の旗である。他の旗が国連旗を除きすべて国旗であることからして不自然な混入であり、私に言わせれば無神経な使用であるというほかない。この旗を好まない隣国があるが、別にその見方に同調するわけではないが、各国旗の中に旭日旗が混じることはふさわしくないと、私は思う。

町会その他公共性のある機関や団体がこれを製作し、掲示しているとは思えないが、いずれにしてもこの万国旗は速やかに撤去されるべきである。

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