世界情勢は多事多端、混乱が続き、武力紛争が絶えません。国旗はそうした動きを反映し、時々、変更になるのです。
当面、変更の可能性がある国旗がいくつかあります。フィリピンでは既に国会で変更が決議されており、イラクは再検討すると国会が決めています。
ネパールは王政が倒れ、憲法の改定が話し合われています。旺盛時代の憲法の付属文書で、世界で一番詳しく規定されていた国旗ですが、これはおそらく変わるでしょう。
エジプト、そしてシリアでもこの政治情勢ではきっと変更の事態になるでしょう。具体的にみてみましょう。
フィリピンの国旗の白は平等と友愛を、青は平和、真実と正義を、赤は勇気と愛国心を象徴し、黄色い太陽は自由を表徴しています。3つの星はこの国の主要な島であるルソン、ミンダナオ島、ビさや諸島を表しています。太陽から8本の光が出ていますが、これはフィリピン独立革命の際、最初に武器を取ったルソン島所在の8州(パンパンガ州、ブラカン州、リサール州、カビテ州、バタンガス州、ラグナ州、タルラック州、ケソン州)を表しているものです。
2009年9月27日、国会は、1521年、スペインの探検家マゼランの一行が来島して以来、いかなる場合にも屈服しなかったムスリムの人たちに敬意を表し、光の数を1本増やして9本とする提案を議会で決定したのですが、デザインはまだ改定されていない)。
2004年に議会に提案され議会で否決されたイラク国旗の案。
青はイスラムの国にはあまりになじみにくいのです。
イラク国民議会は2008年2月21日、国旗を変更しました。その際、新しい国旗は暫定的なもので、1年以内に見直すという付帯決議があるのですが、今もって、見直しがあったとも、変更になったとも報道されてはいません。
昨年は「アラブの春」で、リビアの緑一色の国旗は、王政時代(1951~69)までの国旗に戻りましたが、同じく独裁政権が打倒されたエジプトやチュニジアの国旗は変更になっていません。チュニジアの国旗は独立以来のものですから、あるいは変更がないかもしれませんが、エジプトの国旗は1984年10月に、今回追放されたホスニ・ムバラク大統領が変更したものですから、私はエジプトの政局が落ち着きそうになったらおそらく変更されることになるものと思っています。
ネパールのこのユニークなデザインの国旗もどうなるかわかりません。ざっとこの国の基本に関わる流れを見てみましょう。
2006年5月18日、議会が国歌変更と政教分離(ヒンドゥー教の国教廃止)を満場一致で決定し、2007年12月27日、暫定議会はネパールの政体が連邦民主共和制になる旨の暫定憲法改正案を承認しました。
翌年4月10日、制憲議会選挙の投票が実施され、毛沢東派が第1党となったが過半数は獲得できず、5月28日、ネパール制憲議会が招集され、新たな政体を連邦民主共和制と宣言して正式に240年間続いた王制に終止符を打ち、これにともないギャネンドラ国王が退位しました。
しかし、その後も安定した政権も議会も出来ないまま、混沌とした政治状況が続いており、この特徴あるネパールの国旗は変更に至っていません。これからもこの国の状況をフォロー見ていきましょう。
このように国旗の勉強には、日々の情報の収集と地理や世界の歴史の勉強が欠かせません。