12月5日、南アフリカ共和国のネルソン・マンデラ元大統領が亡くなった。
大統領就任演説で「人種が融和する虹の国をつくろう」と言った姿が忘れられない。
「虹の国」の実現はマンデラ氏の理想であり、それがデザイン化され南アの国旗になった。
アパルトヘイト(人種差別)からの決別を宣告するため、南アの国旗は1994年4月27日に採択された。当初は臨時の国旗としてデザインされたものであり、色の数が6色という世界一多い国旗(6色のこっきはその後、南スーダンも採用)として、製作上の苦労まで考えてしまい、
どうなることかという思いがあったが、このデザインが国内での評判が良かったため、最終的に憲法で定められたのだった。
公式的に各色には特に意味はないとされているが、黒・黄・緑はアパルトヘイトと闘ってきたアフリカ民族会議 (African National Congress) の旗の色であり、残りの赤・青・白は南アの旧宗主国のイギリスとオランダの国旗の色である。このためこの国旗はアフリカの伝統と歴史を象徴しているものと解釈される。黒と白が黒人と白人を思わせるのは当然であるが、マンデラ氏は「白人に反対なのではなく、白人優先主義に反対なのだ」と述べるなど、双方の融和を図ったのだった。
皇后陛下が、
窓開けつつ聞きたるニュース南アなるアパルトヘイト法廃されしとぞ
と詠まれたことが想起される。
また、皇太子殿下が9日に発ち、葬儀に参列されることは大変すばらしい判断と思う。王国ではない南アで皇族の参列という珍しい例であろうが、マンデラ氏の税巨は全世界の悲しみであり、人種差別政策反対の声を最初に挙げた日本を代表するに最もふさわしい方が向かわれることになる。アメリカからはオバマ現、ブッシュ前、クリントン元の3代の大統領ご夫妻が参列するとのこと、安倍首相の参列が東京でのASEAN首脳会議と日程が重なるため無理である以上、皇太子殿下にお出かけいただくことになったという経過と報道されている。
あらためて「虹の旗」に託したマンデラ氏の理想はこれからも国是として守り抜かれてゆくことを切望する。合掌。
南アの国旗は「虹の旗 rainbow flag」と呼ばれている。