私が理事長を務めている社会福祉法人さぽうと21の支援事業の1つに、坪井一郎・仁子基金の運用というのがあります。日本に何らかのご縁のある外国出身者、例えば、インドシナ難民、中国残留孤児、北朝鮮からの脱北者の子女など2005年からの9年間で13か国の出身者をのべ94人、支援してまいりました。
支援生はみなさん、縁あって日本にいる優秀な若者なのです。
返済不要、毎月6~13万円というのですから、受給者には結構、大きな援助になるようです。
この坪井ご夫妻はともに故人ですが、坪井一郎は東洋熱工業という、空調をはじめとする設備工事会社の創立者です。同社は株は公開していませんが、スカイツリーの空調を受注するなど、有力な企業です。ここ約10年、同社は億を超える資金援助をしてくださっています。
社会福祉法人さぽうと21はご夫妻の株の遺贈を受け、同社有数の大株主になっています。ですから、年1回の株主総会には、かなりでかい顔?で私が出席しますし、今秋の本社ビル全面建て替え工事完成式にも参加しました。式典では畏友・中曽根弘文参院議員が来賓代表で挨拶していましたが、私は弘文氏がまだ旭化成の社員だった頃からの深い付き合いで、披露パーティでも、二人のあまりの親しさに、同社の幹部も不思議がったようですが、弘文さんも私にまさかこういう関係があるとは想定外の様子で、びっくりしておられました。
12月21日はこの坪井基金支援生中9人が、自分の専門について短時間で発表するという恒例の行事がJICA地球ひろばで開催され、理科系5人、文科系4人の院生や学生男女がもちろん日本語で登壇し、「見事」というのはこういう場合にしか使いたくないというくらい、いずれも上手なプレゼンをしました。原稿の棒読みなどという人は誰もいませんでした。近頃、どこかの知事さんが5千万円の授受でしどろもどろだったのとは大違い、あまりの名スピーチに、いい意味で唖然としました。
各理事さんからの質問も見事でした。山田寛(読売新聞元サイゴン、バンコク、パリ、ワシントン駐在特派員・総局長)、水上洋一郎(東京入管元局長)、大貫康雄(NHK元欧州総局帳)、垣平通世(東洋熱工業最高幹部の一人)、柳瀬房子(認定NPO法人難民を助ける会会長)といった理事・評議員の皆さんです。発表者刺激されたのか(失礼!)まるで、良質のパネルディスカッションを聴いているようでした。
でも、こういう後の「理事長講評」というのは正直、少々緊張しますよね。こうなると「ボランティア活動って、暇なときに好きなようにやる」で済むものではありません。それでいて、それこそみなさんに煽られた(乗せられた)のでしょう、今回はわれながらこれまた「想定外」にいい話ができたと、少なくとも自己満足しました。ですから、やはりこういうボランティア活動って、魅力的で、簡単には辞められませんね。活動の喜びとともに、こんなすばらしい緊張という報酬があるのですから。