日本水準原点というのが、東京・千代田区永田町1丁目の憲政記念館構内にある。本土から遠く離れた離島の標高を除く日本の高低測量の基準点である。
建物自体は一見、“高級掘っ立て小屋”のような形をしているが、ローマ風神殿建築に倣い、ドーリア式オーダー(配列形式)をもつ本格的な様式建築で明治期の数少ない近代洋風建築として、東京都指定有形文化財(建造物)に指定されている。
なおエンタブラチュアのフリーズ部分には菊花紋章と共に、右から「大日本帝國」と刻まれている。「大日本帝国」号を残す現存する数少ない公的建造物でもある。
文化財に指定されている立派な建造物。日本水準原点標庫という石造りの建物の中に、その基準点を示す器具があり、ごらんのように、標庫の中央に菊のご紋がある。
標高は 24.3900 m。しかし、この原点の高さを示す表示は時々に変更される。竣工したのは1891(明治24)年5月、当初の標高は、T.P.+24.5000 mだった。それが関東大震災(1923年)の後、再測量したときにはT.P.+24.4140 mに改定され、さらに、2011年の「3.11」大震災によって24 mm沈下したため、現在の原点標高はT.P.+24.3900 mとされている。沈下の原因は地震なのだろうか、温暖化の影響もあるのか。この地にそんな原点があるのは、かつて参謀本部陸地測量部がここにあったから。