ニュージーランドの国旗が変わりそうだ。1月29日の時事通信は「さらばユニオンジャック? NZ首相、国旗変更の方針」の見出しで以下の記事を配信している。
ニュージーランドのキー首相は29日、記者団に対し、「国旗変更が望ましい」と述べ、ユニオンジャック(英国旗)が描かれた国旗を変更する考えを示した。閣議決定した上で、年内に予定される総選挙に合わせて国民投票を実施し、新国旗採用の是非を問う方針だ。
現在の国旗には、南十字星を表す四つの星のほか、英連邦の一員として左上に英国旗が描かれている。オーストラリア国旗とも構図が似ており、混同されることも多い。
首相は「個人的には(新国旗の図柄には)シルバーファーンがふさわしいと思う」と語った。シルバーファーンはシダの一種で、先住民マオリにゆかりが深い。その葉をあしらった記章は国技であるラグビーのNZ代表オールブラックスのユニホームにも描かれている。
英連邦加盟国では、1965年にカナダが英国旗が描かれた国旗を変更し、「メープルリーフ(カエデの葉)旗」を採用した例がある。
英国のブルーエンサインに南十字星をあしらったNZの国旗は、1869年に採択されたもので、正式には、1902年に議会で国旗として制定された。オーストラリアの国旗も南十字星なので、誤用されたり、誤認されることも少なくないようだ。
ニュージーランドの国章。
下部の植物がシルバーファーン。
ラグビーのオールブラックスでおなじみのシルバーファーン・フラッグ。
2019年に東京で行われるW杯でも今から優勝候補とされている。
シルバーファーン(Silver Fern、学名:Cyathea dealbata)はニュージーランドに自生するシダの1種で、原住民のマオリ語ではPongaと呼ぶ。マオリ族の人にとっては銀白色の葉は神秘的でさえ感じさせるものがあり、信仰の対象とされてきたという。
シダ類はニュージーランドに広く生い茂り、とりわけ樹木ほどに大きく成長するシダ類が自生しているのが特徴。シルバーファーンは「tree」と言われているほど、大きな木に成長する。
シルバーファーンはNZの人たちにとってカナダのカエデのようなアイデンティティの象徴であり、1956年から国章の最下部にデザインされている。
シルバーファーンを取り入れた国旗にすべきだというのは、1998年にマリー・ハスラー文化大臣も提案しているが、今度の場合は最高首脳であるキー首相が記者団に発表しただけに、国旗変更の可能性は極めて高いものと思われる。
そしてその場合はオーストラリアの国旗変更を誘発する可能性が極めて高い。既に前回の労働党政権時代には英連邦内の共和国になって、「ユニオンジャック」を取り込まないデザインにする案が論議された。中には、コアラやカンガルーを取り入れたデザインを含め多くを公募したメディアもある。