一番困った国旗が「日の丸」

1964(昭和39)年の東京オリンピックにあたり、参加国の国旗を揃えるにあたり、各国の承認を取るのに一番困ったのは日本の国旗。

外務省、文部省、首相官邸、国会などに問い合わせたがいずれ“忌避”。

結局、組織委は自分の責任で「日の丸」のデザインを決めるほかなかった。つまり、担当専門職員である私が熟慮して、デザインを選定し、起案することになる。


1999年8月13日施行の国旗国歌法で制定された現在の日本の国旗

1870年1月27日に太政官布告で制定された「商船に掲ぐべき御国旗」。
現行の国旗国歌法でも当分の間、使用を認めることになっている。
「縦横比7;10、円の直径は縦の5分の3、円の中心は旗面の中心より横の100分の1旗竿側に寄る」という奇妙?なデザイン。おそらくはフランスあたりからのお雇い外国人のデザイン感覚の影響をうけたのではあるまいか。(詳細は、拙著『知っておきたい「日の丸」のい話』学研新書)

①当時有効であった1870(明治3)年1月27日の太政官布告第57号「商船規則」ではなく、最終的には、②「日本国憲法」発行時に海軍の消滅とともに失効した同年10月1日の同布告651号「海軍規則」に準拠した「日の丸」を採用した。

1 は縦横比7:10、円の直径は縦の5分の3、円の中心は横の100分の1旗竿側に寄るというものであり、②は2:3、5分の3、円の中心は旗面の中心というものであった。

②は1936年に満場一致で衆院を通過した「大日本帝國国旗法案」(貴族院で審議未了廃案)が1999年8月13日施行の「国旗国歌法」と同じデザインであるが、同法では「当分の間」、①のものも国旗とみなすと規定している。

1998年の長野冬季オリンピックでは「日の丸」の円を縦の3分の2にしたことについては以前も触れた。

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