「イスラム国」の進攻によるイラク中部・南部の混乱に乗じて、クルド自治政府が油田都市キルクークを6月中旬から実効支配している。
アラブ系の人たちがイラクとイスラム国に分かれている今こそ独立の好機ではないかとみるクルド人たちの「国旗」
そのキルクークで7月11日、車爆弾による自爆テロなどが相次ぎ、フランス公共ラジオによると、28人が死亡、25人が負傷したと伝えられる。死傷者には子供や女性が含まれるという。スンニ派過激組織「イスラム国」の掌握地域から避難してきた人々も、多数巻き込まれたもようだ。
同地区のバルザニ「大統領」は、独立の是非を問う住民投票を数ヵ月以内に実施することを表明した。かくして、「イラクは三分割しかない」と言われるようになった。
油田は南部のシーア派支配地に集中し、北部にはキルクーク油田がある。三分割となればキルクーク油田を巡り、スンニ派とクルド族勢力とが争う事態も起こりかねない。
古代文明が栄えたこの地域に、自由と民主主義という欧米が築いた近代社会の基本的な価値に挑戦する「イスラム国」ができ、それが周辺へのテロの輸出にならないよう、国際社会はしっかり対応せねばならない事態だ。