若い友人Yと電車の中で見かけたこの手提げ袋。
「これって今問題になっているんじゃないですか」と小声でY。
「ん? 数年前、バナナ・リパブリック(=バナナ共和国)というブランド名が、発展途上国を侮蔑的にいう呼称だということで、アメリカ、中南米、オーストラリアなどで批判の対象になったことがあるよね。ちっぽけな未開の国といった偏見を助長するものという印象だね」と、少し離れて私。
「先日のサッカーの試合でバルセロナ所属のダニエウ・アウヴェスが、4月27日に行われたビジャレアル戦の試合中に、観客からバナナを投げ込まれて人種差別行為を受けたんです」
「で、どうしたの?」
「アウヴェスはそのババナを食べてからCKを蹴ったんですよ」
「人種差別を飲み込んだということか。ユーモラスに抗議する姿勢だね。日本では?」
「8月23日、横浜マリノスと川崎フロンターレの試合で、マリノスのサポーターがゴール付近でバナナを振りかざしたんです」
「そりゃ最悪だ。挑発行為の範囲を超えて重大な差別行為だ」
「ところで、国旗にバナナが出てくる国ってあるんですか?」
「1つだけ、フィジーの国旗の紋章の中にでてくる。これは別に自虐的でも何でもないんだけどね」
「バナナ・リパブリックというからには“国旗”もあるんですかね?」と言ったところで渋谷駅。二人とも下車したが話は続いた。
「そりゃ有名ブランドだから商標くらいはあるんだろうけど、所詮、国でも地域でないからね。」
「このブランド名ってあまり感心しませんよね」
「その通り。1980年頃にこの会社が出来たころはまだユーモアくらいに思われていたのかもしれないが、21世紀の今、いかに著名な会社であろうとも、ブランド名を一気に変えるべきでしょう」
「有名なブランドだから換えやすいということもありますよね」
「帝国人絹がテイジンに、東洋レーヨンがTORAYに変わり、松下電器がパナソニックに変わったのだって、よく知られているからこそ変えやすいということはあるかもね」。
バナナ・リパブリック(Banana Republic)は、アメリカ合衆国カリフォルニア州を本拠とする衣料品製造小売業であり、そのブランドである。
アメリカでの衣料品小売業最大手であるGAP社が所有するブランド名。