朝日新聞での吹浦へのインタビュー③

―ご自身の提案はありますか。

「東京大会は、『平和』『調和』『協力』を前面に打ち出すべきだと考えます。たとえば、オリンピアで採火された聖火をどうやって日本に運ぶか。ぜひ、地上をリレーし、国境線上で隣国のランナーに火を受け渡す方式でユーラシア大陸を走破してほしい。年の五輪でも、組織委、朝日新聞、日産自動車の合同チームがギリシャからインドまで自動車で調査しましたが、当時は実施できなかったことです」

「いまは日本の在外公館も増え、在留日本人の数も格段に増えました。アジア・ハイウエーや通信事情も格段に発達しています。古代オリンピックのように停戦を働きかけて聖火を国から国へつなげていくことは、シリア、イラク、パレスチナ、ウクライナと、紛争や戦乱が絶えない地だからこそ意味があります」

「中国の人権抑圧に抗議するデモなどで北京大会の聖火リレーが円滑に進まなかったことから、IOCは09年、世界規模での聖火リレーの廃止を決めました。日本がその決定を撤回するよう働きかけ、世界中の人々と『平和』という目標を共有することを目指してはどうでしょうか。第2次世界大戦後、日本は戦争をせず、巻き込まれず、今日に至っています。その平和のメッセージを込めて、大陸横断の聖火リレーにトライしてほしい」

―ロンドン五輪では204の国・地域から、1万人を超える選手が集まりました。

「東京はそれ以上でしょうから、共生社会への転換点になる大会にしてほしい。その象徴として、開会式のファンファーレ曲を募集し、年齢、男女、国籍の別なく、2020人が持参のトランペットで演奏することも提案したいですね。4年前に236本のトランペットの合同演奏をプロデュースした経験があります。前日の昼に集まって練習すれば合同演奏はできます。さらに閉会式では、フォークダンス、社交ダンス、阿波踊り、八木節など、みんなでさまざまなダンスをするというのはどうでしょう。スポーツ、音楽、踊りに国境はありません」

「きらびやかな最新技術の披露も大事ですが、世界のトップクラスにまで発展した日本だからこそ、アナログ的で手作り感のある、人間の温かみを感じることができる五輪を、堂々と開催できると思います」

<完>

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