朝日新聞のすばらしさも見過ごしたくない

今や立つ瀬のない感じに罵られている朝日新聞だが、私は依然愛読している。何十年と続いた習慣とともに、他紙と違う大きな影響力(他紙の記者や政治家・官僚の多くが読者であること)、そして個々の記者の優秀なことには、しばしば敬服させられるからだ。早急な再建を期待する。


2007年の夏の甲子園大会開会式。朝日新聞の社旗は名古屋以西はこのデザイン。
この左側に旗竿が付くのは、旗のデザインとしては異様というか、あり得ない配色。
風が吹かないと「朝」の文字が垂れて見えなくなってしまう。

右は北海道と東京の本社は別の社旗。
本来は1つの社旗だったものを会社を東西に分けた時、社旗も二つに分割した。

先日(9月3日)、オリンピックに関する私へのインタビューが紙面の3分の2も割いて掲載してくれたときにも、完全に自由に加筆修正させてくれたし、その際には校閲部に感心した。

曰く「気象庁のデータを見ると、オリンピックの開会式が行われた前日は曇りになってますが、あなたはドジャブリの大雨だと言ってます。記憶ちがいではありませんか?」。

このチェック力ってすごいですよね。でも、老いたりとはいえ、先週のきょう何を食べたかと言われると答えられなくとも、1964年9月9日の天気はよく覚えている。夕方以降、激しい雨になった。開会式のないオリンピックになるのかと思ったほどだ。気象庁の記録はおそらく、正午か何かの特定の時間の気象を簡単に記録しているだけではないだろうか。

ちなみに、東京オリンピックの他の人の著作も、雨と書いている。私の記憶が正しいことを後押ししてくれて、いまさらながらホッとしているが、朝日新聞校閲部の「そこまで記事をチェックする」その姿勢に感心した。

もう一つ、「あなたは開会式の直前に、ホンジュラスの国旗を旗手が逆さまになっていたのを直させたと言ってますが、ホンジュラスは東京オリンピックに参加していません。他の国の勘違いではありませんか?」。

これには参りました。勘違いであることを昔、自分で書いたエッセイで確かめました。「パナマでした。訂正してください」。

他紙でも、雑誌でも校閲部はきっとしっかりしているとは思うが、日々、膨大な量の情報を流す新聞社でここまできちんとしていることにであったのは、私にとっては朝日新聞でが初めて。出版社では『知っておきたい「日の丸」の話』を学研新書で出した時の学習研究社。文字媒体の関係者のみなさま、なにとぞこのボケ老人をしっかり見守り、ご注意ください。

テレビ、ラジオなどの電波媒体と本稿のようなHPやブログなどは、いわばそのすべてが出演者の自己責任。せいぜい言ったことを削ってつなぐことがあっても、基本的には勘違いがあってもそのまま出てしまう。ここのところ長短合わせて毎週複数の番組に出演しているが、自分で責任を負えるよう、しっかり話をしたいものとあらためて自覚した次第。

まもなく東京オリンピックの開会式から50年。今年の10月10日の1930からNHKでオリンピック特集番組があり、また私がちょっと出るはず。昨日、4人がわが家に来られて撮影して帰った。当時のIOC委員であり、東京都知事、後の日赤社長である東龍太郎についてのこと。

さて、朝日新聞。酷いことが連続して起こったが、他紙誌も「以って他山の石」とすべきことはないのか、「天に向かってつばを吐」いていることはないのかと、顧みてほしい。

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