2013年、テレビ朝日開局55周年記念番組として2夜連続放映もされた奥田英朗(1959~)原作の『オリンピックの身代金』を週末鑑賞した。
原作は2008年、角川書店から出た時にすぐ読んだが、原作もドラマも実によくできていると感心した。
犯人が同じ秋田県の出身、同じ世代の東大生という設定でもあり、東京オリンピックを「人質」にして、出稼ぎ労働者の過酷な労働による下支えで開催された国家的行事に伊を唱える「島崎国夫」、周辺人物も多彩で、すっかり楽しませてもらった。
奥田は1959年生まれというから東京大会について書くのは私が「終戦」を語るようなもの。しかし、さすがに文才が違う。原作を読んでいるとまるで私が犯人のような気さえしてくる。
中身はもちろん実在しない全くのフィクションだが、東京大会の描写はほぼ完璧。事実をしらない視聴者や読者は、もしかしたらこんな事件が隠されていたのかと心配するかもしれないと、老生は老婆心を抱いてしまうほどだ。
それにしても次回の「2020東京」も「身代金」なしで実施したいものだ。