「北朝鮮の国旗大好き」物語

2011年12月17日、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の最高指導者・金正日総書記が急逝しました(同19日の北朝鮮政府発表)。拉致事件をはじめ、さまざまなトラブルを起こし、最近でも2010年11月23日に韓国の延坪島(ヨンビョンド)を砲撃する事件を起こすなど、北朝鮮という国にはどうにも好意を感じることはできませんが、私は、純粋に国旗研究者の立場から、北朝鮮の国旗のデザインが大好きなのです。

今ではそのデザイナーの名前も伝えられていませんが、民族の色である青と赤を白線で仕切り、肌竿側に大きな星を配した人はきっとすばらしいデザイナーだったに違いありません。もしかして上野の美術学校か、モスクワでデザインの勉強でもした人なのかなぁ、どうして、その人の名前が消えてしまったのかと勝手な想像が広がってしまいます。

もう一つ見事なのは、逝去が公表されるや即刻、北朝鮮国内はもとより、大使館をはじめ世界中の関係公館などでいっせいに、半旗にしたといことです。

1989年、昭和天皇が崩御されたとき、日本では2、3日、そうは行きませんでした。地方自治体や学校や個人から「日の丸」をどうしたらいいかと問合せをいただきましたが、北朝鮮では日ごろ国旗の取り扱いについてきちんと教育しているのか、おそらくそんなことはなかったのではないのでしょうか。

弔旗は
①一度、竿頭に接する所まで揚げてから、少し下げる
②竿頭に黒いリボン垂らす
③竿頭を黒い布で覆う
④壁面に掲揚する場合には左側に黒いリボンを伏す
⑤その場合はリボンの先端を総角(あげまき)状か蝶結びにする
のが国際的な慣行です。

写真は12月20日の朝日新聞が北京の大使館で国旗を半旗にしているところをAPからの配信写真で紹介しているのですが、NHKの報道では、鴨緑江の中国側・丹東から対岸の北朝鮮の国旗が半旗になっていることを確認できたと言うことです。北朝鮮も、こと国旗に限っては世界の一流国並みであり、私はこの点に関しては尊敬しているのです。但し、他の分野ではあまりに国際社会と乖離がありすぎます。この乖離が東アジアの不安定要因の最たるものであることが問題だと考えます。

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