三丁目の夕日の苦笑


1965年2月からのカナダ国旗

東京オリンピック当時のカナダ国旗

「ALWAYS 三丁目の夕日」はなんとも微笑ましく、素晴らしい映画だと思います。今回の第3編は1964(昭和39)年、云わずと知れた東京オリンピックのころの話。居間で買ったばかりのテレビを前に「日の丸」を振りながら家族で応援する、そんな時代があったんでしたよね。

何度も言うようで恐縮ですが、私は「財団法人第18回オリンピック東京大会組織員会事務局競技部式典課専門職員」でした。当時、学生でしたが、組織委が外務省を始め、関係方面に紹介したころ、他にいないということで、私に話が来たのでした。参加94カ国の国旗全部の発注仕様書を書き、内外16の資料に基づき図面を作成し、各国のNOCに見本を送って承認を求め、約1万枚の旗を点検し、掲揚に責任を持ちました。


1964年10月10日、オリンピック東京大会
開会式の日に国立競技場内でのタディ。

その私がこの映画を懐かしさのあまり、うっとりと鑑賞していたのに、突然、自分でもおかしいくらい笑ってしまったシーンがあるのです。街に万国旗が並んでいるところで、カナダの国旗が、なんと東京オリンピックの4か月後、すなわち1965年2月15日に変更になってからのものがならんでいるのです。

もう少し詳しく書きますと、オリンピックは1964年19月24日の閉会式で幕を閉じ、現在のカナダの国旗のデザインは1964年12月にカナダの国会で承認され、翌1965年1月28日に国家元首である英国のエリザベス2世によって国旗として宣言され、2月15日から使用されているものです。ですから、カナダでは2月15日が「National Flag of Canada Day」となっているのです。

それまでの国旗、すなわち東京オリンピックで掲揚した国旗は、英国のレッドエンサイン red ensignにイングランド、スコットランド、アイルランド、フランス(白百合)の紋章と、カエデの葉が合わさった紋章を付けたものでした。

私の知っている野草の専門家はいつもNHK大河ドラマを見て、「このタンポポは西洋タンポポで当時は絶対になかった」とか、植生が気になってしょうがないといいます。でも、その人に私はまあ、がまんがまんというくせに、国旗のことになるといささか神経質になってしまうのです。自己矛盾、ダブルスタンダードかもしれませんね、これは。私がおかしいのでしょうか?

映画やテレビでは、もっときちんと考証すべきだとおもうのですが…。 必要ならいつでもボランティアとして協力しますよ。民報テレビや学校にはしょっちゅう協力しているのですから。

それともう一つ、この映画、出演している男性俳優の髪型が、みな長髪なのは「ありえない」のです。多くが「7:3」やオールバック、そしてしばしば刈り上げていたのです。それは、「当時の青年」として私はよく覚えています。佐藤栄作首相が退任後、長髪にしたというので、大きな話題になるさらに10年近く前の話ですから。

これも風俗史などその道の専門家は笑ってしまったことでしょうね。

それにしてもこの映画、その2つを除けば実によくできており、楽しませてくれます。私は六本木ヒルズの東宝シネマで見ましたが、全国各地で上映中のはずです。

ALWAYS 三丁目の夕日’64

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