「冬の旅」と菩提樹の国旗


スリランカの国旗。右側に4枚の菩提樹の葉。
左の緑はイスラムの色、サフランはヒンドゥー教の色であり、宗教への寛容さを国旗で象徴しているものです。

2月5日、上板橋の真言宗豊山派の名刹・安養院の本堂でシューベルトの「冬の旅」を聴きました。演奏はバリトンの河野克典さんとピアノは野平一郎東京藝大教授。お見事と言うほかない演奏でした。お寺の本堂での演奏会ですが、仏像の前にグランドピアノを置き、ご住職の平井和成師が司会・進行を務め、梅津時比古毎日新聞学芸部専門編集委員が開設するという構成でした。解説が50分もの「講義」であったのは、正直言って、いささか…でしたが、最後はみなさんが大満足して、お土産のパンジー鉢植えまでいただいて帰途につきました。


河野克典さん(右)と野平一郎教授

いつもならシャンデリア。でも、ここは仏教寺院の本堂。きれいですよね、こういうのも。

直前までわが「タディの国旗の世界」を執筆していたものですから、「冬の旅」→「菩提樹」→「スリランカの国旗」と、24曲中、この5曲目だけは少々「妄想」に飛びました。

そして、「お釈迦様がその下で悟りを開いた菩提樹がどうして作詞したシラーのドイツにもあるのだろう」「昨日お会いした人はウィ-ンに出発したけど、朝は零下20度だって言ってたよね」と思い出したりしてしまいました。

帰宅後、早速、ウィキペディアを引いてみました。

ボダイジュ(菩提樹、Tilia miqueliana)とはシナノキ科の植物の一種。中国原産の落葉高木。高さは10mほど。花期は6-7月頃で花は淡黄色。日本へは、臨済宗の開祖栄西が中国から持ち帰ったと伝えられる。日本では各地の仏教寺院によく植えられている。

釈迦は菩提樹の下で悟りを開いたとして知られるが、釈迦の菩提樹は本種ではなくクワ科のインドボタイジュ(印度菩提樹、Ficus religiosa)のことである。中国では熱帯産のインドボタイジュの生育には適さないため、葉の形が似ているシナノキ科の本種を菩提樹としたと言われる。

うーん、なるほど、納得です。

またフランツ・シューベルトの歌曲集『冬の旅』第5曲「菩提樹(”Der Lindenbaum”)」に歌われる菩提樹は本種ではなく近縁のセイヨウボダイジュである。

ほかにも、アメリカボダイジュ、オオバボダイジュ、ナツボダイジュ、フユボダイジュ、マンシュウボダイジュ、ツクシボダイジュ(熊本県、大分県に限って分布)などがあり、ほぼ世界中に分布しているようです。

参考文献として、多田多恵子 『身近な草木の実とタネハンドブック』(総合出版)を挙げているので、こんどはもっと調べてみたいものです。

仏教の寺院がこういう文化活動をされるのは実にすばらしいこと。池上本門寺の塔頭・実相寺でも、以前からさまざまな文化活動を続けておられ、私もなんどかお世話になりました。なんとも落ち着いた雰囲気で、河野さんの「冬の旅」はまさにびったりのプログラムでした。

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