エクアドルの国章
吹浦:考えようによっては世界一高い山はエクアドルのチンボラソ山なんだ。アンデス山中にある海抜6,310mの火山だよ。
Q:でも、8,850mあるというエベレストより大分低いですね。
吹浦:それどころか南米の最高峰でもないんだよ。アンデス山脈の中にはちりとアルゼンチンの国境にあるアコンカングア山6,960mをはじめ、オホスデルサラード山6,908m、シュンヤジャコ山6,723m、ペルーのワスカラア山6,768m、ボリビアのサハマ山6,542m、ペルーのアウサンガテ山6,394mなど、標高の高い山々があります。でも…。
Q:でも?
吹浦:山頂が地球の中心からどれだけの距離になっているかとなると、なんとチンボラソ山が、トップになるんですってさ。
Q:地球ってマン丸じゃないの?
吹浦:いい質問だね。地球は赤道付近が少し膨らんだやや楕円形をしているんだよ。チンボラソ山は赤道のすぐ南に位置しています。ですから、最高峰ですがアコンカンガは南緯32度、エベレストは北緯27度付近ですから、地球の中心から測れば、チンボラソ山に負けるんです。
Q:ところで、そのエクアドルの国旗って?
吹浦:その前にエクアドルについて復習しておこう。キミはエクアドルというと何を思い出すかい?
Q:国の名前が「赤道」という意味であること。先週、学校で教わっちゃった。
吹浦:ほかには?
Q:よくわからないけど、ガラパゴス島。ダーウィンの進化論の発祥地でしょう?
吹浦:今から180年以上前の1835年、英国の進化生物学者ダーウィン(1908~82)は今で言うエクアドルのガラパゴス島に上陸、35日間滞在しました。そこで、有名な『進化論』を実証するさまざまなヒントを得たのでした。帰る時、いくつかの生物やその標本を持って出ましたが、その1つゾウガメはなんと175歳まで生き、6年前2006年6月12日に、心臓麻痺で亡くなったんですってさ。
Q:ダーウィンって偉い人なんでしょうが、このゾウガメのほうがもっとえらいみたい。
吹浦:この島は今でも生物学上、とても重要な島でここに棲む爬虫類の全部の種類、鳥類の50%、植物の32%、そして魚類の25%もが固有種なんだって。今度世界遺産になった小笠原諸島にも固有種がいろいろいるけど、とても比較になりません。
Q:経済は?
吹浦:うん、産油国なんですが、油田地帯はアンデス山脈の東側にあるので、地震国ということもあって、山越えで油送管を維持するのが大変な苦労とのことです。
Q:行ってみたいなぁ。エクアドル。で。国旗は?
吹浦:出ました、でました。そうこなくちゃね。黄色、青、赤のなかなか鮮やかなデザインだね。真ん中の紋章でよく似たコロンビアやベネズエラと区別するんだ。
Q:どうして似たデザインなの?
吹浦:大コロンビア連邦といって、1830年に分離独立するまでは1つの国だったんだよ。パナマも含まれていたんですが、運河を掘削したとき、アメリカがコロンビアから強引に独立させ、しかも、肝腎の運河地帯はアメリカのものだったんだ。国旗の色までアメリカの三色と同じになっているね。
Q:エクアドルの紋章はきれいですね。
Q:チンボラソ火山とそこから発するグアヤス川が描かれています。川に浮かぶ船もまたGuayas号。1841年にグアヤキルで建造され、南米西岸諸国で最初に建造された耐波性のある蒸気船でした。マストの代わりに貿易と経済を表すケーリュケイオンがあるのが特徴です。丈夫の帯には白羊宮(おひつじ座)、金牛宮(おうし座)、双児宮(ふたご座)、巨蟹宮(かに座)がカオを描いた太陽とともに並んで、1845年の自由党革命のあった3月から7月の間を象徴しています。翼を広げたコンドルはエクアドルの権力、偉大さ、力の象徴です。左側の月桂樹は栄光と共和国、右側のヤシの葉は平和のシンボル。下部のファスケスは共和制時代の古代ローマの権力の象徴であり、国家の尊厳を象徴しているものです。
Q:難しい話になっちゃったね。ファスケスってなあに?
吹浦:ファスケス は儀鉞(ぎえつ)や権標、束桿などと扼されています。ローマ時代の公用語であるラテン語でいう fasces、ファスケース)のこと。「束」を意味するファスキス (fascis)の複数形で、エクアドルの国旗でも見られるように、通常は斧の周りに木の束を結びつけたもの。古代ローマで権力者の従者が捧げ持った権威の象徴。20世紀に隆盛を極めたファシズムの語源でもあります。
Q:上の鳥はコンドルかな?
吹浦:その通り。コンドルには笑える話があるから、この次に話そうね。