2012年5月28日、マラウイの国旗が独立当時以来のデザインに戻りました。
南部アフリカのマラウイ共和国は英領ニアサランドが独立した国。復活した国旗は1964年7月6日に制定されたものです。ところが、2010年7月29日、南部アフリカのマラウイで国旗を変更する法案にビング・ワ・ムタリカ大統領(2004年に就任、2009年に再選。世界銀行勤務などを経た経済学者出身)が署名し、同法は即日施行されました。
そのデザインは2010年から今年の5月までは赤・黒・緑の中に白い円の太陽というものでした。なかなかきれいでユニークなデザインとは思っていましたが、政治の混乱の中で、わずか22ヶ月の運命でした。美人薄命?
この「美人」、2009年5月19日に行われた、国民議会選挙における民主進歩党の勝利の後、新たな国旗案を提出、汎アフリカ旗 (世界黒人開発協会アフリカ社会連合の旗) と同じ赤・黒・緑の順番に、昇る半円の赤い太陽に代り、独立以来の経済発展を表す白い円の太陽を中央に配置したものでした。一方、統一民主戦線は国旗変更に反対し、訴訟も辞さないとして抵抗してきました。
復活したこの国旗は、マラウイの独立(1964年)時がちょうどアフリカ諸国が相次いで独立をしていた時期に制定されたもので、太陽は日の出を、アフリカ大陸の希望と自由の夜明けを表し、また黒はアフリカの国民を、赤は自由のための殉教者を、緑はマラウイの自然を表すというものです。
2年前に採択された国旗
ところが、今年4月5日にムタリカ大統領(1934~2012)が心臓発作で急逝したため、マラウイ共和国憲法の規定によりジョイス・バンダ女史(1951~)が、4月7日に大統領(同国最初の女性大統領)に昇格しました。
パンダ女史は2009年度の選挙で、大統領候補のムタリカとともに民主進歩党(DPP)から副大統領候補として出馬し、当選した人です。しかし、ムタリカ大統領とは次第に対立するようになり、2010年には民主進歩党から追放され、党籍を失っていましたが、副大統領の地位はそのままだったため、一連の「ムスタカ路線」の変更の中で、議会での投票により、独立当初の旗を再度採用し、元に戻したということです。
以上は、マラウイ紙「The Nation」(5月29日付)と「The Nyasa Times(2012年6月2日付)を参考にしましたが、前者の見出しは「FLAG CHANGE WAS AN INSULT - MPs」(国会議員たちは「国旗の変更は屈辱だ」)と述べているという激しいものです。