国歌に出てくる国旗の話


23年間続いたアメリカの15星15条の星条旗。このあとは独立当時の13州を表す13条を据え置きとし、星はその時の州の数になった。現在の50星星条旗は1960年のハワイの州昇格に伴って、翌1960年7月4日(独立記念日)から50年以上続いている。星条旗としては最長不倒記録を重ねていることになる。そして、次に長く続いた星条旗はこの15星15条の星条旗である。

国旗について著書を出したり、メディアで話したりすると、時々、国歌についても質問が来ることがあります。
たとえば、あるテレビ局の方が、「国歌には国旗がどのくらい出てくるのですか?」と訊いてきました。
答えは「米国の国歌はその名も<「星条旗」>、他にも実に多いです。
あとは必要なら何冊かの本をお貸ししますからお調べください」でお引取り願いました。
その後、少し気の毒をしたなと思いつつ、ざっと並べてみました。
トルコ、コスタリカ、ニカラグア、エルサルバドル、ナウル、ジブチ、アルジェリア、アルバニアといった概して小さな国々の国歌です。
中国の国歌には「前進! 毛沢東の旗を掲げよ 前進! 旗を掲げよ」とあります。

チャイコフスキーに有名な『大序曲1812年』はナポレオンがロシアに攻め入りやがて敗退する様を描く名曲ですが、その隙を狙って、イギリス国はその1812年に、既に独立していたはずのアメリカに戦さを仕掛けました。
第2次米英戦争です。米国の苦戦は大変なものでした。戦闘は、現在、ホワイトハウスと呼ばれている大統領官邸にまで及び、それまでの建物が硝煙でくすんだため、白いペンキを塗ったことにこの名前が由来しています。

1814年、詩人で弁護士のフランシス・スコット・キー(当時35歳)は、交渉のため英国の軍艦に向ったのですが、翌日、総攻撃を結構することを知られたくないため艦内に留め置かれ、その夜、英国艦隊は激しい砲撃を行なったのです。
翌朝、キーは砦に立つ、耐え抜いた「「星条旗」」を目にしました。

この体験をもとに書き上げた詩が「マクヘンリー砦の防衛」。
この詩が、当時よく歌われていた「天国のアナクレオンへ(To Anacreon in Heaven)」のメロディに充てられ、1931年3月3日には米国の国歌として正式に採択されました。
曲は、今ではきわめて荘重に演奏されますが、それ以前はかなり軽妙に歌われた宴会用の節だったのだとか.なかなかいい詩です。
一度、読んでみませんか?
少し意訳してみました。

Oh, say can you see, by the dawn’s early light
おお、見ずや、夜明けの薄明かりの中、

What so proudly we hailed at the twilight’s last gleaming?
我等誇り高く、声高に叫ぶ

Whose broad stripes and bright stars, through the perilous fight.
危難迫るさなか城壁に翻る

O’er the ramparts we watched were so gallantly streaming?
太き縞と輝ける星の旗。

And the rockets’ red glare, the bombs bursting in air,
砲弾炸裂続けどもわが旗は

Gave proof through the night that our flag was still there,
雄雄しく一晩中翻っていたのだ。

Oh, say does that star-spangled banner yet wave.
おお、「星条旗」はなお翻る

O’er the land of the free and the home of the brave!
自由の地 勇気満てる者の地に!

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