11日、エジプトのカイロ中心部タハリール広場近くの米国大使館が襲撃され、米国旗が損壊された。(写真は朝日新聞より)
12日、チュニジアの首都チュニスに米国旗を燃やし「アラーのほかに神はなし。ムハンマドはアラーの預言者なり」と書いた黒い旗を立てようとする暴徒たち。(読売新聞より)
イスラムの預言者ムハンマド(モハメット)を好色で乱暴な人間として揶揄する内容の映画がきっかけで、エジプトではカイロの米国大使館に暴徒が侵入し、国旗「星条旗」を引き摺り下ろし、裂いたり、燃やす事件が起き、リビアのベンガジでは米国総領事館がロケット弾や自動小銃で襲撃され、クリストファー・スティーブン大使と職員3人が死亡した。
11日、カイロ中心部タハリール広場近くの米国大使館前には千人以上が集結。5人の男が高さ約5メートルの外塀の上に座り、「アラーのほかに神はなし。ムハンマドはアラーの預言者なり」と書かれた黒地の旗を掲げていた。
米国旗を焼却する事件は、ほかにもチュニジア、イラン、イラク、ガザ(パレスチナ自治区)で起こり、他にも反米デモがイエメン、スーダン、モロッコなどで相次いでいる。
ムハンマドをめぐっては2005年にデンマーク紙が風刺漫画を載せたのを機に、欧州各国の新聞が掲載。リビアではイタリア領事館が放火されるなど、イスラム諸国で反発が広がったことがある。また、アフガニスタンでは米軍の兵士が『コーラン』を燃やしたり、踏みつけるなどして大問題になったばかりである。
こうした行動が、イスラム諸国の人たちをしてわざわざ怒らせ、興奮させているのではないか、アメリカ人の独善と無神経さがもたらしている結果なのではないかと危惧する。
もちろん国旗を侮辱することは許されないが、米国政府にもまた丁重な善後策が望まれる。