東京・表参道でのお正月の国旗
中国には日本の国旗を貶める表現があります。「日の丸」を中国の貶義語で「旗 gao yao qi」というのです。待場裕子さんという中国語学の専門家の方は「日本の侵略に抵抗した中国の民衆の中で、日の丸は<膏薬旗>(丸い膏薬を貼った旗)といわれてきた事実も、私たちは知っておくべきでしょう」と言っておられます。
また、ある中国についての専門家から「楚云著『中日戦争内幕全公開』(時事出版社、北京、2005年)の135頁に、<見八道楼子頂端己挿上関東軍膏薬旗>とあります。<膏葯旗>とは日本の旗の(相手をおとしめる意味の単語)として辞書に載っている」と教えていただきました。
「膏薬旗」とはいやな言葉ですが、たぶん、支那事変(シナ事変、日中戦争)当時、中国側で「日の丸」を「」の「膏薬」を塗りつけたような旗と軽蔑して呼んだものでしょうね。「葯」というのは白川静の『辞通』に拠れば、「薬」の俗辞だそうです。
日本人も長い間、中国人を「チャン」「チャンチャン」(泉鏡花や国木田独歩の作品)とか、「チャンコロ」(小林多喜二の同)と言っていた事実を知っておかねばならないでしょう。一方、中国は、世界中の人が中国をチャイナ、シーヌ、キタイ、シンなどと呼ぶのは認めても、日本人がシナと呼び、支那と書くことを嫌います。東シナ海、南シナ海さえ、東海、南海と呼ばせたいようです。韓国も日本海を東海にしようと、国を挙げて国際社会に働きかけましたが、さすがに、世界の良識を突き破るには至っていません。
北海は欧州全体の北の海ですからこれは定着しています。しかし、世界の海を東西南北だけでよぶのではどこの東西南北化がわからず、東アジアでは東海の南に別の東海があるようなことにもなりかねません。
ただ、「チャンチャン」は清の時代ふうの服装をして江戸の街中で飴売りをしていた時の鉦の音から出た語(「日本国語大辞典」)なのだそうです。
また、戦時中、日本人が「鬼畜米英」と言っていたり、逆に「Jap」と言われていた歴史的事実をもあります。「ロスケ」に「イエローモンキー」もありました。私自身、国際赤十字の活動の中で欧州出身の同僚が「Jap」と言っていたのを聴きつけて、殴りつけたことさえあります。今では若気の至りと反省もしていますが、その時の気持ちに戻るとムラムラとするのもまた事実です。
ところで、ある転勤族からこんなことを耳にしました。
幕藩時代3つの国から成っていた静岡では、今でも「伊豆のドロ、駿河のコジキ、遠州のタタキ」、「越中のドロ、越前のサギ、加賀のコジキ」というのだそうです。静岡県や北陸から来た方も同席している会でしたが、「それって的を射ているよ」という話でした。最後に後味の悪い話を書いてしまいましたね。ごめんなさい。