英国旗はウェールズを軽視?


ウェールズの旗

イギリスを構成する4つの「国」のうち、ウェールズは13世紀末というきわめて早い時期にイングランドとの一体化が進んでいたため、イギリスの国旗にはウェールズの要素が全く入っていないデザインになっている。

しかし、再び独自の政府と議会を持つまでに至った近年のウェールズの「国民」意識の復活に伴い、ウェールズの象徴である「赤いドラゴン」を取り込むべきであるとの主張が提起されている。最近では5年ほど前の2007年11月27日、イギリス国会(下院)で、ウェールズ選出のイアン・ルーカス議員(労働党)とマーガレット・ホッジ文化担当閣外相との議論が注目された。

これに対し、①「ユニオン・ジャック」が内外であまりにも定着していること、②オーストラリア、ニュージーランド、フィジー、クック諸島など他国の国旗の一部にも含まれており、英国旗の改定は他国旗への影響も少なくない、③合体された3つの十字架の旗と「赤いドラゴン」ではデザインがあまりにもかけ離れ過ぎており、整合性の取れた国旗を作るのは難しいこと、などが指摘され、改変に消極的な声も大きい。

2007年、『デイリー・テレグラフ』がウェールズ旗のデザインを取り入れた「新しい䇦国旗」の試案を募集したところ、ゴードン・ブラウン䇦首相の顔とドラゴンとを組み合わせたり、EU(欧州連合)の旗を組み合わせたりと、ブラックユーモアに富んだ作品を含む多くの案が寄せられた。海外からも多数の案が投稿され、中でも日本人からの複数の作品が注目された。

Richard Holt, “Japan offers to solve ‘Union Jack problem'”, The Daily Telegraph, December 6, 2007. /「2ちゃんねらー提案の『新イギリス国旗』、英大手新聞サイトに」アイティメディア、2007年12月2日/「新英国旗デザイン案募集――『2ちゃん』作品が人気投票2位」ジェイ・キャスト、2007年12月13日とウィキペディアなどによると、最終的には投票結果によると、1位はノルウェー人からの投稿作品、2位は日本からの投稿作品となったが、そのどちらもが日本のアニメーションを題材(1位の作品には天元突破グレンラガンの「グレン団」の意匠が、2位の作品にはゼロの使い魔の「ルイズ」が描かれている)とした作品だった。

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