国旗国歌法案への投票 – 反対した人はこんな議員


2006年の「王ジャパン」優勝を喜ぶ選手たち

1999(平成11)年8月9日、「国旗国歌法」が参議院を通過して成立し、同月13日から施行されました。あれから間もなく14年、政治の色模様もずいぶん変わりましたが、当時のことを記録し、記憶することも重要化と思います。

この法律が衆議院の内閣委員会で審議されているとき、私は自民党推薦の参考人として口述したので、法律自体に直接的な縁を感じます。公述では、同法の制定に賛成しました。

この旗とこの歌以外に我が国に相応しいものが他にあるとは考えられないからです。日本の国旗が縞模様、星、三角形とかはあり得ないし、桜の花、富士山などというのはすでに長年、国旗として親しんできた日本文化を否定することになるからです。

日本国の象徴と憲法で決められている天皇を讃えることは日本国を讃えることであり、なぜいけないのでしょう。象徴に誇りを持ち、大事にしないという人は、国家も、国旗も国歌も大切にしないという考えの人かと思います。

まして新たに国歌を制定するとなれば、その歌を大々的に宣伝し、覚えさせるよう強制するほかないという事態にならざるを得ません。ですから、国会での公述に際しても「日の丸」が国旗で、「君が代」を国歌とすることに特に異議はありませんでした。

お隣の公述人は「雪の降るまちを」「ちいさい秋みつけた」「『めだかの学校』『夏の思い出』」などで知られる作曲家の中田喜直(1923~2000)先生でした。先生は「君は代は音楽としてすばらしい」と述べられました。

私としては国旗の専門家として、「円の大きさは東京五輪の時のように縦の5分の3でいいのか、それとも長野五輪のように3分の2がいいのか」「円を旗面の中心に置くべきか多少竿側に置くべきか」「赤の色について詳細に規定する必要はないか」などもっと慎重に審議すべきとは思いました。

しかし、政治は生き物であり、風というか、盛り上がりというか、時を得なくては一層の混乱を起こしかねないということも、当時、30年近く永田町の事務所で政治を観察してきた者としてわからないわけではなかったのです。ですから多数決で決せられた原案に賛成する公述をしたのです。

ただ、国旗国歌の問題が官によって教育現場で先鋭化されることはできれば避けたいものです。

民主党の党大会ではついぞ、国旗にお目にかかったことがありません。国歌国旗法の採決で、民主党は党議拘束をかけないで自由投票にしたのです。その結果、後に首相となった菅直人さんや外相になった前原誠司さん、そして今、民主党の代表になっている海江田万里さん、さきごろまで衆院議長だった横路孝弘などは反対しましたが、民主党の大多数も賛成の票を投じたのでした。衆議院では、7月22日、投票総数489、賛成403、反対86、参議院では、8月9日、投票総数237、賛成166、反対71で可決されているのですから。他に反対した議員は共産党全と社会民主党の全議員であり、民主党議員の内(衆議院46人、参議院31人)でした。

上原康助 池端清一 日野市朗 菅直人 横路孝弘 辻一彦 石橋大吉 伊藤忠治 赤松広隆 岩田順介 大畠章宏 小平忠正 五島正規 小林守 坂上富男 佐々木秀典 佐藤謙一郎 土肥隆一 中沢健次 鉢呂吉雄 細川律夫 松本龍 山元勉 池田元久 枝野幸男 小沢鋭仁 海江田万里 金田誠一 河村たかし 前原誠司 山本孝史 家西悟 石毛○(金へんに英)子 岩国哲人 生方幸夫 北村哲男 桑原豊 近藤昭一 末松義規 中桐伸五 葉山峻 原口一博 肥田美代子 福岡宗也 松本惟子 山本譲司

民主党所属参議院議員の内、久保亘 本岡昭次 千葉景子 今井澄 江田五月 川橋幸子 笹野貞子 竹村泰子 角田義一 堀利和 円より子 峰崎直樹 藁科満治 朝日俊弘 伊藤基隆 岡崎トミ子 小川勝也 小川敏夫 郡司彰 輿石東 小宮山洋子 斎藤勁 桜井充 佐藤泰介 高嶋良充 谷林正昭 福山哲郎 前川忠夫 松崎俊久 簗瀬進 山下八洲夫という面々です。

その他、二院クラブ・自由連合の佐藤道夫、島袋宗康、無所属の菅野久光(副議長)、中村敦夫が反対票を投じました。

また、衆議院では石井紘基、参議院では、松前達郎 勝木健司 木俣佳丈 内藤正光 藤井俊男が欠席しました。

ここで言えるのは、

① 民主党は民主主義の大原則である多数による決定を尊重しないのか、
② 国旗「日の丸」を掲揚しない党に国家の運営を任すことが出来るのか、

ということでしょう。

ちなみに、社民党は「日の丸」大嫌いの政党であるのはいうまでもありません。両党が連立できるとすれば、この、多数で決定した国家の基本に関わる重要なことでもこれに従わないという、民主主義を否定するという共通点ではないのでしょうか。

当時は、もし民主党政権が出来たら、もしかしたら、あらゆる国家的行事から「日の丸」が消えるのか、と心配しました。しかし、さすがの菅さんも、2010年9月14日の小沢さんとの代表戦一騎打ちで、壇上の「日の丸」に会釈をするようになりました。人間、誰でも進歩するものです。それでも大臣の最初の記者会見などの場面で、何人かの新任大臣が国旗を素通りしてしゃべりはじめるという「みっともないこと」をされました。きっと、嬉しくてか緊張していてか、そんなことには思いも至らなかったのでしょうね。

しかし、「日の丸」についての民主党の人たちの考え方や行動はときどきチェックする必要がありそうです。2009年夏の衆議院議員総選挙では、「日の丸」を断ち切って民主党旗を創り、候補者の演説会場に掲げた鹿児島の議員もいたのですから、呆れます。

国旗・国歌を尊重することは、国家を尊重することです。この法律の制定で、日本における国旗論議は大きく進歩したと私は思います。

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