ロシア国民楽派代表する作曲家リムスキー=コルサコフ。その歌劇『ムラダ』には「トリグラウ山の一夜」という交響詩がある。このトリグラウ山がスロベニアの象徴として同国の国旗や国章に描かれているのだ。
3つの峰を持つ、スロベニアのトリグラウ山
そのリムスキー=コルサコフ、これは全部、姓であり、フルネームはニコライ・アンドレイェヴィチ・リムスキー=コルサコフ(1844~1908)。「リム」は「ローマ人」の意。スラブ社会にあるローマへの憧れがあり、ローマにルーツを持つ人が多数いるその1つの証左といえよう。そのリムスキー=コルサコフが同じスラブ系のスロベニアの名山に心惹かれるのはごく自然なことか。
このジュリア・アルプスの最高峰(2,864m)は1778年8月26日、スロベニア人の自然科学者シグムンド・ゾワと仲間たちによって初登頂が達成された。今では山頂に「アリヤスの塔(Aljažev stolp)」というスロベニアのランドマークがあり、国の重要なシンボルとされている。
山頂に立つアリヤスの塔
トリグラウ一帯は他にもスロベニアの伝承に登場する金の角を持つ雄者ズラトロクゆかりの地として知られている。ズラトロクは今ではスロベニア最大のビール会社ラーシュコビールのロゴになっているそうだ。
トリグラウはスラブ系の言葉で「三峰山」(東京の奥にこの名前の人気の山が!)。1981年にトリグラウを取り巻く一帯が国立公園に指定された。