ロシア国旗が世界をめぐる? – ソチ冬季オリンピック

ソチ五輪の聖火リレーが宇宙や北極点にも向かうという。

モスクワ発の共同電によれば、来年2月にロシアのソチで開催される冬季五輪について、チェルニシェンコ組織委員会会長は4月11日、聖火リレーが「宇宙」や北極点をめぐるとの計画を説明した。


オリンピックシンボル

東シベリアにある世界最深の湖バイカルの湖底や、カフカス山脈にある欧州・ロシア最高峰エリブルス山(5,642メートル)も通る。

会長は同紙主催の会合で、ソチ五輪の聖火リレーは「おそらく二度と繰り返すことができない」規模だと強調。ことし10月7日にギリシャのアテネからモスクワに届く聖火は、国内をめぐるものとしては最長の123日をかけ、ロシア全土の約3千の市を回る。

思い起こすのは1964年の東京オリンピックのときと2008年の北京五輪の聖火リレー。東京大会の時、組織委はアテネから陸路ユーラシア大陸を陸送する計画を立て、61年に日産・朝日新聞と3社協力チームを結成、実地調査を行った。しかし、このチーム、参加メンバーが仲たがいし、ニューデリーで実質的に解散、ドライバーの安達、森西のお二人がシンガポールまで車を運んだ。その森西氏は組織委事務局発足以来、式典担当となり、国旗の重要性を力説し、専門家をもとめて外務省、日赤、ユネスコ協会連盟などを訪ね歩き、いずれからも、まだ学生だった私の名前が上がり、引見してくれ、上司を口説き落とし、国旗担当専門職員としての採用への道を開いてくれた。森西さんは後に聖火リレー係長。東京オリンピック終了後は日産のカーレーサーとなり全国制覇し、サファリラリーの前日、ケニアで亡くなった。同乗していたのは足立さん。助手席を守る形でハンドルを操作し、対向車と横面衝突だったが足立さんは軽傷で済んだ。森西さんの遺児は、その名も「サハリ」さん。2,3年前に私はを訪ねてくださった。

東京五輪の聖火は結果的には空路で運び、同じルート上の各国の首都を周っただけに終わった。

北京大会は、ギリシャから各国に火を運び、日本の場合は長野で目抜き通りを走った。沿道には動員された中国人留学生が膨大な数の「五星紅旗」を押し立て、ほんの片隅で、中国の武力侵略に抗議するチベットの旗が掲げられていた。そこにはオリンピックの旗も、国旗「日の丸」もなかった。

私は中国のために惜しんだ。東京オリンピックで組織委国旗担当専門職員であった私が、この時、同じ立場なら、基本的に「日の丸」「五星紅旗」「五輪旗」を同数並べ、「各国それぞれの国旗をお持ちになるのはご自由に」としたと思う。

ソチの冬季五輪で、世界中にロシアの三色旗だけが跳梁跋扈するのは、決してオリンピックのためにも、世界のためにもならない。

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