子供向きの解説記事は、毎日小学生新聞(私が時々、「世界野国旗クイズ」の連載をしています)と朝日新聞が群れを抜いている(特別すぐれている)と思います。
その朝日新聞(7月20日付)には「ニュースのおさらい 北極海の氷、減るとどうなる」というとてもわかりやすい記事が載(の)っています。
北極(ほっきょく)の海氷(かいひょう)がどんどん減(へ)っています。地球が暖(あたた)かくなり、海氷も解(と)けやすくなっているからです。「将来(しょうらい)、夏の北極海から氷(こおり)がなくなる」との予測(よそく)もあるほどです。海氷がこのまま小さくなると、環境や生き物にどんな影響(えいきょう)が出るのでしょうか。良いこともあるのでしょうか。
●今までで一番せまい面積に
北極の夏の海氷は1980年ごろから減り始めて、ここ10年は解ける量が多くなってきている。人工衛星(じんこうえいせい)で観測(かんそく)を始めた79年から2000年までは9月の海氷面積は平均670万平方キロあったが、昨年9月16日には341万平方キロになった。観測が始まって以来、最小の記録だ。
「今年の夏は、それより約5%小さくなる」と東大大学院新領域創成科学研究科(とうだいだいがくいんしんりょういきそうせいかがくけんきゅうか)の山口一教授(やまぐちはじめきょうじゅ)のグループは予測した。
原因は、二酸化炭素(にさんかたんそ)(CO2)などが増えて温度が上がる地球温暖化(おんだんか)だ。海水温も上がって北極の氷が解ける。白い氷は太陽の光を反射するが、氷が解けると海面が出て、太陽光を浴(あ)びて海水はさらに温まる。氷はできにくくなり、できても解けやすい。こうして、海氷は減り続けてしまうというわけだ。
世界の研究者は北極の海氷の広がりを人工衛星で観測している。地表や海面、大気からは自然に「マイクロ波(は)」という弱い電磁波(でんじは)が出ている。これを衛星でとらえると、どこが海面で、どこが氷かがわかる。
日本では、国立極地研究所(こくりつきょくちけんきゅうじょ)など35機関(きかん)が北極の気候変動(きこうへんどう)を探る共同研究を始めている。これに参加している東大のチームは、氷の厚(あつ)さに注目し、今年の夏の海氷の広がりを予測した。
「冬に氷が集まってきて厚くなる所は夏になっても解けにくい。逆に薄(うす)い氷が多い所は早く解けるはず」と木村詞明特任研究員(きむらのりあきとくにんけんきゅういん)は考えた。冬の氷の動きを観察し、氷が密集(みっしゅう)したり、薄く広がったりする所をみつけて、そこから夏の海氷の広がりがどれくらいになるかを推計(すいけい)した。
一方、南極の氷は減少がはっきりと確認されていない。北極の海氷が海に浮(う)かぶ薄い氷なのに対して、南極の氷は大陸の上にあり、厚さは平均約2千メートルもある。地球上の氷の9割もの量があって、簡単には解けない。
●気象に変化、船は「近道」
「このままいくと30~50年後には夏の北極海に氷がなくなってしまう」。多くの研究者はそう考えている。「減少傾向(げんしょうけいこう)は続く。一時的に戻(もど)ることもあるかもしれないが、昔ほどには戻らない」と山口教授もみている。
海氷が変わると、海や沿岸(えんがん)の生き物も影響(えいきょう)を受ける。エサを捕(と)れる場所が変わってすむ場所が変わったり、生息数(せいそくすう)が増えたり減ったりするかもしれない。
気象(きしょう)は変化が出始めている。海面が出たり氷に覆(おお)われたりすることによって、その上の大気(たいき)の流れが変わるからだ。北極周辺だけではなく、影響は広くに及ぶ。北極の海氷が小さくなると低気圧(ていきあつ)の通り道が変わって、日本の冬が寒くなるという研究も報告(ほうこく)された。さらに海氷が減っていけば、異常気象にもつながっていくかもしれない。
心配ばかりではない。北極の海氷が消えると、船が通れる「近道(ちかみち)」ができると期待する人たちもいる。
東京から欧州(おうしゅう)へ船で行くのに、アフリカ大陸南端(なんたん)をまわると約2万8千キロ、スエズ運河(うんが)を通っても2万キロ以上だが、北極海を通れば約1万3千キロですむ。昨年は氷がなくなったロシア北部沖を通って、欧州と中国(ちゅうごく)や韓国(かんこく)などを結ぶ航路(こうろ)を、船が46回も行き来した。
北極海を航海するには、いつどこの氷がなくなるかを予測して計画しなくてはならない。今年は、ロシア北部は7月21日ごろ、カナダ北部は8月6日ごろに氷が消えて航路が開通しそうだと研究チームは予測した。
「北極海を通れば時間も燃料(ねんりょう)も節約(せつやく)できて、環境にもいい」と山口教授はいう。船が航海中に記録する天気や波などの情報を提供(ていきょう)してもらえると「地球環境の研究にも役立つ」と期待している。
国連旗
北極海といえば旗では、国連旗。北極点を中心に、正距方位図法(せいきょほういずほう)という、中心からの距離(きょり)と方位が正しく表される地図と平和のシンボルであるオリーブの枝です。
また、私が思い出すのは、北方領土の国後島(くなしりとう)に小さなビール工場ができたときのこと。1996年のできごとでした。北極海に面し、ノルウェーとの国境に近いムルマンスクからコンテナハウスそのものの、小さな小さなビール「工場」が、原子力貨物船で北極海を航海し、ベーリング海峡(ロシアとアラスカのあいだ)を抜けて南下し、国後島中心の町・古釜布(ふるかまっぷ)に着いたのです。醸造(じょうぞう)設備一式はオーストリア製のもので、ここで生産される北方領土の地ビールは2年ほど続いていましたが、経営不振でなくなりました。
念を押しますが、国後島は日本固有の領土、つまり、一度も外国の支配を受けたことのない、古来、日本の領土なのです。それをソ連(現在のロシアを中心とする15の国からなる連邦国家)が1945年9月に、武力で占拠(せんきょ)したまま今日に至っています。
ですから、古釜布をユジノクリリスクとしたように、しばしば地名も勝手にロシア語にしています。日本では全政党がこぞって択捉(えとろふ)、国後(くなしり)、色丹(しこたん)、歯舞群島(はぼまいぐんとう)の返還を求めています。
地球の温暖化が進み、北極海の氷が解ければ、ツバルやモーリシャスのような国は大変なことになるでしょうが、ヨーロッパと日本との船便は少なくとも夏には、格段に便利になるかもしれません。
<ご案内>
折から、海洋政策研究財団が時宜を得た国際セミナーを開催しますので、転載してご案内します。
あいにく当日は尼崎で講演のため私はは参加できませんが、関係者をよくぞんじておりますので、ご参加をお勧めいたします。
海洋政策研究財団では、下記のとおり、「北極海航路の持続的利用に向けた国際セミナー」を開催いたします。
近年、北極海を航行する船舶が増加していることを踏まえ、ロシア、ノルウェー、米国など北極海沿岸国から専門家をお招きし、北極海をめぐる最新情報を発表していただくとともに、
今後の北極海航路の適正で持続的な利用に向けての議論を行います。
本セミナーは、日本国内での北極海航路に関する貴重な機会となります。
記
1.北極海航路の持続的利用に向けた国際セミナー in 東京
日 時 : 平成25年9月3日(火) 10:00~17:00 (レセプション 17:10~18:30)
場 所 : 霞山会館(東京都千代田区霞が関3-2-1霞が関コモンゲート西館37階)
http://www.kazankk.org/access/access.html
定 員 : 150名(定員になり次第締め切らせていただきます)
参加費 : 無料
2.北極海航路の持続的利用に向けた国際セミナー in 札幌
日 時 : 平成25年9月6日(金) 9:45~16:30 (レセプション 17:30~)
場 所 : 京王プラザホテル札幌(札幌市中央区北5条西7丁目2-1)
http://www.keioplaza-sapporo.co.jp/access_/
定 員 : 100名(定員になり次第締め切らせていただきます)
参加費 : 無料
3.プログラム
詳細は下記URL(海洋政策研究財団ブログ)をご参照ください。
http://blog.canpan.info/oprf/archive/1304
4.申込方法
上記のURL(海洋政策研究財団ブログ)より参加申込書をダウンロードし、FAXしていただくか、下記参加申込フォームにご入力のうえ、ocean10@sof.or.jpまでご連絡ください。
※このアドレスは配信用です。このメールに返信しても申込はできませんのでご注意ください。
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海洋政策研究財団 海技グループ海事チーム
〒105-0001 東京都港区虎ノ門3-4-10 虎ノ門35森ビル
TEL: 03-5404-6844 FAX: 03-5404-6800
E-mail: ocean10@sof.or.jp URL: http://www.sof.or.jp
参加を希望される方は、ここから下をocean10@sof.or.jpまで送信してください。
※このアドレスは配信用です。このメールに返信しても申込はできませんのでご注意ください。
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「北極海航路の持続的利用に向けた国際セミナー」に出席します
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