3月31日からのNHK連続テレビ小説は『花子とアン』です。昨年11月からクランクインで、今は第3週放映分を横浜市のTBS緑山スタジオで収録中です。『赤毛のアン』の翻訳者として名高い村岡花子(1893~1968)の物語です。主演は吉高由里子、10代から60代までを演じるという。
先日は、1903年と1908年のカナダの国旗を教えてほしいということで、村岡が学んだ東洋英和女学院の120年史編纂室の協力ですぐ回答しましたが、今度は、1908年当時の列強の国旗について考証してほしいということから、当時の英、仏、独、露、伊、米、丁(デンマーク)、白(ベルギー)、墺(オーストリア)、甫(ポルトガル)、それに日本を選び、データ化して教えてあげました。
しかし、はっきりいってその時のK女性助監督(番組制作会社の人)とのやり取りでどうにも不安がよぎり、現場を見て確認したいと申し出たところ、「どうぞ」ということになり、昨1月18日(土)、出かけました。渋谷のNHKのビル(1964年には五輪中継センターだったビル)の耐震性が問題になり、今補強工事中ということで、TBSのスタジオを借り上げて撮影しているのだそうです。
出掛けてみて、つくづく、協力すると言ったなら最後までしなくてはいけないということを学びました。なんと、アメリカの国旗が現在の50星になっていたのです。1908年の「星条旗」はオクラホマの州昇格により、その年の7月4日(独立記念日)に46星になったばかりなのです。50星になったのはハワイの州昇格に伴い1960年7月4日から。
事前にちゃんと当時の11カ国の国旗図をメールし、K助監督にわがユーラシア21研究所にお越しいただき、しかと指導したのに、「これ」なのです。おそらく、「星条旗」が州の数が増えるたびに星の数が増して行くことをご存知なかったのではないでしょうか。
しかし、私が気づいたのはもう、本番の15分ほど前のこと。演出担当者が、「星条旗」の付いている1、2連の万国旗を取り下げ、撮影に入るほかありませんでした。
50星の「星条旗」をこのまま撮影して、1908年当時の…とやっては、とんでもない間違いです。これを指摘することができただけで、貴重な午後を数時間費やして出かけてよかったと思います。
私は以前から国旗のことなら番組にでも何でも無償協力しますよと、小欄でも何度も言ってきました。ですから、謝金を要求しているわけではありません。ただ、NHKさん、少し頭が高いように思います。メールで済まそうとしたり、電話でという態度なのはいかがなものでしょうか。また、例えば、今回、世田谷区と目黒区の境界付近に住んでいおる私は、タクシーと田園都市線を乗り継ぎ田奈駅で下車、15分かかって自分でタクシーを呼び、数千円支払って撮影現場に参りました。そこで待ち受けてくれたのは数年前、真珠湾攻撃で捕虜になった酒巻和男のドキュメンタリー番組で協力した時の須崎岳プロデューサー。さすがに帰りは小田急線鶴川駅までタクシーを手配してくれましたが、そこから新宿経由、帰宅しました。ケチなことは言うつもりはありませんが、世間の常識に照らして、これは少々「?」ではないでしょうか。
NHKでは、先日の『あまちゃん』の最終回で何と20年余り前に崩壊したソ連の鎚と鎌の国旗が出ていましたし、年に数回、国旗の間違いを指摘して来ました。あまりにひどいので、先般、畏友・井上樹彦編成局長にご注意申し上げたところ、局長通達のようなものが出たようで、『八重の桜』(これも最終回の三国干渉の場面の国旗)、『ケネディ大統領没後50年記念特集番組』などなど、担当者から頻繁に問い合わせが来ます。
協力は惜しみませんが、今回も須崎さんはともかく、最初のK助監督にはあれだけ教えてあげて、データを渡した挙句にこのお粗末。誠意ある「お詫び」と「お礼」の一言がきちんとあってしかるべきかと思います。私が出向かなかったどうなっていたんでしょうね。年中、いろんなテレビ関係者とお目にかかりますが、これにははっきりいって驚きました。
番組でのくだんのシーンは、東洋英和(番組では秀和女学院)と東京帝大の学生たちが孤児院を訪問し、そこで遊んであげたり、さまざまな指導を行うという場面です。4月14日からの週、おそらく15日のオンエアになりそうだということです。編集段階で間違いが起こらないのか、もう一度、当日、凝視しなくてはいけないのでしょうか。
須崎プロデューサーからいただいた、昨年9月の番組紹介資料