先に述べたように、スーダン南部は2011年1月に行われた国民投票で分離独立が確定し、7月にはそこに新しい国が生まれ、193番目の国連加盟国になりました。国民の大半がキリスト教徒ですので、イスラム教国の国旗には珍しい青が大きく加わっています。
他方、2010年7月29日、南部アフリカのマラウイで国旗を変更する法案にビング・ワ・ムタリカ大統領が署名し、同法は即日施行されました。星は上向きと左向きが混在して使用されているようです。
マラウイでは前年5月19日に行われた、国民議会議員選挙で民主進歩党が勝利をおさめ、それ以来、新しい国づくりをめざして新国旗の制定が図られてきました。その結果、1964年の独立以来の国旗である黒赤緑の三色の順番を変え、赤い太陽を白い太陽にしました。これによって「世界黒人開発協会アフリカ社会連合(UNIA-ACL)」の旗と同じ配色になりました。UNIA-ACLは、黒人による民族自覚意識の啓発者であり、アフリカ回帰運動の指導者としてジャマイカの国民的英雄マーカス・ガーベイ(Marcus Mosiah Garvey, 1887~1940)により1914年にジャマイカで創設された団体です。
その主張は、後にネーション・オブ・イスラム、ラスタファリアニズム、そしてキング牧師らによる公民権運動にまで発展したのです。ですから、ガーベイは、オバマ大統領誕生への道を100年近く前に拓いた人ともいえましょう。
1962年に採択されたケニアの国旗もこの汎アフリカ旗の強い影響を受けたデサインです。
マラウイの国旗はこれまでは、太陽がアフリカ大陸の希望と自由の夜明けを表すため、半円だったのですが、今回、「まるごと」の太陽にしたのは、独立以来の経済発展を表すたものなのだそうです。
マラウイは近年、タバコ産業が安定し、それなりの経済成長を達成しています。しかし、一人当たりのGNI(国民総所得)は290米ドル(2008年)と振るわず、内政の対立が顕著となっています。そんな中での国旗の変更ですから、ムタリカ大統領の政権浮上の一策とも報道されました。