バーレーンでは反政府側も国旗を掲げてデモ


バーレーンの国旗。
立憲君主制を明らかにした2002年の憲法改正にともない、8つの部族を表す8つの突起が5つに減らされました。5つは、イスラムを信じる者がなすべき5つの義務、すなわち、信仰告白、1日5度の礼拝、喜捨、断食、メッカ巡礼を表しています。

ペルシャ湾の島国バーレーン。東京23区よりやや大きい面積です。この国で20~22日、モータースポーツの世界最高峰F1レース「バーレーン・グランプリ」開催されました。バーレーンではここ数年、人権抑圧が行われ、例えば、昨年春以降、イスラム教シーア派の医師や教員らをスンニー派の人員に置き換える「宗派浄化(セクタリアンクレンジング)」ともいえる動きが進んでいるのです。


テレビ報道で見ると、反政府側もバーレーンの国旗を振っていることがわかります。

このため、「アラブの春」の余波で昨年はバーレーンでも大きな反政府運動が起こり、治安部隊の発砲で40人以上が死亡し、F1も中止されましたので、今回は2年ぶりということになりましたが、インド系のチーム「フォースインディア」は走行を見合わせました。

F1開催で世界に「安定」を印象づけようとする政府と、この機会にバーレーンの実情を世界に発信しようという反政府運動の盛り上がりで、政府側は毒性のあるガスまで用い、18日からの衝突で1人が死亡、約100人が負傷したという報道もあります。

反政府側の発表では、首都マナマ近郊のシーア派の居住地区カラーナでは10万人の市民が「ダウン、ダウン、ハマド(国王)」などと叫び、行進しました。

バーレーンは2004年に中東で初めてF1を誘致。例年約10万人の関係者や観客が訪れる一大イベントとなっています。

そのハマド国王が先週、日本を公式訪問し、都心にはバーレーンの国旗が「日の丸」といっしょにたくさん掲揚されました。主要国は、バーレーンの人権抑圧を遺憾とし、国王の訪問に難色を示すなか、日本の外務省は湾岸産油諸国との戦略的関係を考慮した判断をしたのでした。国とその周辺にとっては、この訪問はF1レースとともに、国際社会への復帰をアピールしたいという狙いがありました

野田佳彦首相は国王との会談で「具体的かつ目に見える改革の進捗を期待する」と求めました。

日本の厚意を受けとめてバーレーンが自由と民主主義の方向に向かってゆくことを期待します。

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