国旗のある風景1 – 1948年のロンドン・オリンピック

イギリスはいうまでもなく、イングランド、スコットランド、アイルランドがメインになって合併(連合)した王国。ですから、国旗も3つの国旗を合作した「ユニオン・ジャック(ユニオン・フラッグ)」に成っているのです。


イングランドの国旗・聖ジョージ旗。
FIFAではこの旗で単独チームがサッカー競技に参加する。
オリンピックではUK(英国)が1つのチームになるほかない。

グレイトブリトン及び北アイルランド連合王国(UK)の国旗。
Union Jack または Union Flagの名で世界で最も知られている国旗の1つになっている。

しかし、その関係は決して安穏としたものではないようです。5月27日の朝日新聞にはこんな記事が出ていました。

英スコットランド自治政府のサモンド首席大臣(首相に相当)は25日、古都エディンバラで演説し、英国からの独立を実現するためのキャンペーン「イエス・スコットランド」の開始を宣言した。2014年秋に行う独立を問う住民投票に向けて賛成派が勢いづくように、投票前までに100万人の賛同署名を集めたいとしている。
サモンド氏は「スコットランドの住民が地域のことを決めるのが一番。将来も資源も私たちのものであるべきだ」と発言。スコットランド人俳優のショーン・コネリー氏らが応援のメッセージを寄せた。

21世紀の今の現状がそうであることを頭に置きつつ、1948年のロンドン・オリンピック(五輪)を振り返ってみましょう。

敗戦国・日本が参加できなかったロンドン五輪 (1948年)で、マラソン競技に身代わり出場して頑張った元「日本兵」の話が、映画「マイウエイ12000キロの真実」の最初のシーンです。実話をもとに日本→ソ連→ドイツの三カ国の軍服を着て、最終的にはノルマンディーでドイツ兵捕虜として連合軍に捕まったというストーリーです。もう少し詳しく言えば、1939年の「ノモンハン事件」では、関東軍所属部隊の日本軍下級将校として戦い、ソ連軍の捕虜になり、1941年には「独ソ戦」でソ連兵として戦い、ドイツ軍の捕虜になり、1944年の「ノルマンディー作戦」ではドイツ兵として戦い連合軍の捕虜になるというのですから、「実話をもとにした」と映画製作者は言っているようですがにわかに信じられません。

おまけに、主人公の二人は、日本人と朝鮮人。少年時代から長距離ランナーとしてライバルだったのですが、業をともにし、やがて捕虜体験を繰り返しているうちに友情が沸きました。最後はノルマンディーで亡くなった、その朝鮮兵の遺言で、ロンドン大会に韓国代表として身代わり出場したというのですから、私には奇想天外というほかないのです。

どなたかこの「実話」とやらをご存知の方がいらしたら教えてください。

それはそうと、7月27日からのロンドン五輪まであと2ヶ月を切りました。この写真は第二次世界大戦後最初の、つまりベルリン五輪から12年後、再開されたロンドンでの第14回オリンピック競技大会のメインスタジアムの様子です。7月29日から8月14日まで開催され、59の国と地域から 4,064人が19競技151種目に参加しました。


1923年に建造されたウェンブリー・スタジアムがメイン会場でした。

敗戦国である日本やドイツの参加は認められませんでしたが、戦時中に政権交代していたイタリアは参加できました。もっとも、日本は1938年に予定されていた東京オリンピックを返上し、ドイツは1939年にポーランドに侵攻して第二次世界大戦を起こしたことで、代替開催地となるヘルシンキでのオリンピック開催を不可能にしたことから、ロンドン大会でのこの措置は懲罰的なものと考えられます。

私はまだ小学校低学年でしたから、ロンドン五輪のことはほとんど覚えていませんが、当時の古橋選手のことはよく覚えています。


古橋廣之進氏

というのは、日本では日本水連がオリンピックでの競泳競技と同じ日程によって、神宮プールで日本選手権大会を開催したのです。そして、この大会の1500m自由形で「フジヤマのトビウオ」古橋廣之進(1928~2009)が18分37秒0の当時の世界新記録を樹立したのです。但し、日本が国際水泳連盟から除名されていたためこの記録は公認されませんでした。同じ日に行われたロンドン五輪の覇者(金メダリスト。アメリカのジェームズ・マクレーン)の記録は19分18秒5。これよりはるかに早いものだっただけに本当に残念であり、悔しかったものです。

そうそう、マラソン競技では、エティエンヌ・ゲイユ(ベルギー)が最初に競技場に帰還しましたが、場内で痙攣を起こし、ゴール前で二人の選手に追い抜かれるということもありました。

冒頭の映画ではあたかも、その韓国から参加したことになっている日本人選手がラストスパートでどんどん追い抜いて行くのですが…。

ところでこの写真、屋上に掲げられている国旗は、イングランドのセント・ジョージの旗です。「ユニオン・ジャック」ではありません。

今度の開会式当日、私は北方領土の国後島に行っていますので、新造船「えとぴりか」でテレビが映れば幸いですが、これまでの経験ではあまり期待できません。

みなさん、是非、開催国・英国がどんな旗を掲げるか、注目して、国旗について気づいたことがあれば、メールでお知らせください。

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