51星の「星条旗」、あなたが選ぶとすれば、どっち?
山形県天童市在住の中学3年生Wくんから「アメリカの星条旗、もし州の数が51になったらどうなるんでしょう」という質問が来ました。
アメリカの「星条旗」、紅白13本の条は1783年に独立した時の州の数、星の数はそんも時々の連邦構成州の数を表しています。ですから、現在の国旗はハワイが州に昇格したことから1961年に50星になって以来のものです。
いわばここまでは常識の世界、しかし、では、もし州がもっと増えたら、早い話が、プエルトリコ準州やコロンビア特別区(ワシントンDC)、あるいはグアム準州が州と同じ扱いにでもなったら…。
誰ですか、「日本」なんて余計なことを言う人は。でも、2000年、米誌「News Week」は米国の「星条旗」のカントン(星の部分)にごく小さな「日の丸」をつけて、まるで日本が51番目の週になったかのような戯画を表紙にしました。日本があまりにアメリカに従属的ないし追随的な政策を採ることを皮肉ったものでしょう。
ちなみに、今の「星条旗」は、横に656565656個ずつ、すなわち6×5+5×4=50星です。とてもよく工夫されたデザインかと思います。
ここで、少々横道に。素数(そすう、prime number)って習いましたよね。1とその数自身以外に正の約数を持たない数のことです。素数が無限に存在することは、紀元前3世紀頃にギリシャのユークリッドが証明したのだそうです。あの時代の文化って凄いですよね。
ところで、100以下の素数を小さい順に列挙してみましょう。2 3 5 7 11 13 17 19 23 29 31 37 41 43 47 53 59 61 67 71 73 79 83 89 97。全部で25個あります。ついでに、それ以上、500までとなると、101 103 107…と、さらに70個増えるのです。専門家に聞いたところによれば、これまで知られている最大の素数が、2006年9月に発見され、桁数は9808358桁にもなるそうです。
話がややそれました。51という数は一見、素数のようですが、そうではないので、ですから、その数の星はなんとかバランスよく並べることができそうですね。星条旗が51星になるとすれば、17×3=(9+8)×3、したがって、989898でも、544454445444の配列でもいいわけです。
ところが、もう、その場合に備えて、アメリカでは51星の星条旗のデザインが考案されているのです。
米陸軍が提案したもので、試作品も制作されましたが、もちろん公式に決まっているわけではありません。2案あります。独立時と同じく星が環状(円形)に並んでいるものと、今のように四角く横に989898と配置されているものです。環状の配列はあまりなじみがありませんが、18世紀の末にアメリカが独立する頃にはそんな星条旗もあったのです。
いつの日か、51番目の星が必要となった時に、おそらくこのどちらかが採択されることになるのではないかと、私は思っています。