翼をください – 国旗に登場する翼③


現在のザンビアの国旗

独立前の北ローデシア時代の旗には文字通り鷲掴みされ魚が描かれていたが、自由の象徴として魚は取り除かれた。1964年10月24日、東京オリンピック閉会式の日に独立した。

東京五輪閉会式でこの日独立したザンビアの国旗を掲げて入場するザンビアの選手。『オリンピック東京大会公式報告書』より。

翼を表題にした名曲にはどんなものがあるのだろうか。

ジュゼッペ・ヴェルディの歌劇「ナブッコ」(1842年、ミラノのスカラ座で初演)はこの大作曲家の出世作ともなった名曲。特に、第3幕での合唱「行けわが想いよ 黄金の翼にのって」は豊饒さと歴史とスケールの大きさに圧倒され、聴くたびにしびれる。

今日のイタリアでは国歌並みに、あるいはそれ以上に有名な旋律となっている。ナブッコとは、高校の世界史でおなじみの新バビロニア王ネブカドネザル2世(BC604~BC562)のこと。

ここで、閑話を1つ。私の友人に「ウーロン亭茶太郎」という声楽家がいる。音大の先生でもある。「オペラってね、山緑さんが始めて緑さんが完成したものだよ」。つまり、Monteverdiが創始者でVerdiが完成したということのようだ。ほかにもいろいろ教えられたが、「レパートリーというのはね、イザとなれば、咳払い1つすればそれを上演できるというほどその曲に習熟・練達していることだ」。この人、慶應の史学科を出、羽織袴の落語家スタイルで27オペラを一人で上演する。3オクターブ半の声域で、ソプラノからバスまでアリアを歌い上げ、話は落語の調子で語れるのです。「ナブッコ」ももちろんレパートリーの1つです。

メンデルスゾーンの「歌の翼に」を初めて聴いたのは、高校1年生のとき、音楽室で同年や先輩の女子高生数人が、見事に3部合唱で練習していた。当方、全員にぽーっとなったこと間違いなし。文字通りの紅顔の美少年だった。今にその片鱗ありや。もしくは「厚顔の醜老年」?

少年易老學難成
一寸光陰不可輕
未覺池塘春草夢
階前梧葉已秋聲

ところで、ここに掲げたのは翼の登場する国旗の中から南部アフリカはザンビアの国旗。あの日、1964年10月24日、東京オリンピックの最終日にそれまでの英領北ローデシアからザンビアと名を変えて独立した。この朝、陸上自衛隊員とボーイスカウトの協力で、周辺の国旗を1つずつずらし、Zambiaの国旗を最後のポールに移動した。また、私自身は早朝6時に新しい国旗を持って代々木の選手村(現・森林公園)の宿舎を訪ねた。前夜からのさまざまな祝福で散らかっていたが、心から嬉しそうに旗を受け取ってくれた。

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