AK47、カラシニコフ、そして朝日新聞松本仁一記者

老生の仲間にも困ったのがいる。AK47と言ったら、知ったかぶりに「赤穂47士の略?」ときたもんだ。その隣の元紅顔の美少年は、「AKB48の偽物?」。
いえいえ、AK47は第二次世界大戦直後、ソ連で開発された画期的な歩兵銃。戦後すぐ、ソ連は敗戦国ドイツから、往年絶賛を浴びたStG44の開発者ヒューゴ・シュマイザー(ユーゴ・シュマイサー)を自国に強制連行しました。その技術的助言を受けながら、ソ連のカラシニコフ技術中尉が設計・開発したのです。それゆえ、しばしば、通称のカラシニコフと呼ばれています。ソ連製のほか中国がコピー生産し、世界に広まりました。


ソビエト連邦の国旗

ロシアの国旗

90代でも元気なカラシニコフ氏

メドヴェージェフ首相とカラシニコフ氏

モザンビークの国旗も登場するくらい、世界各地の内戦や戦争で多用され、ベトナム戦争で米軍が「負けた」一因がこの銃を使ったかどうかにあるとさえ、私は勝手に思っています。

私が国際赤十字の駐在代表としてベトナムの戦場にいたとき、バンメトートやプレークの米軍駐屯地で米兵たちが言っていました。「米国の制式銃M1は雨が降ったら使い物にならないが、ベトコンから没収したカラシニコフは水に浸かっても砂浜でもちゃんと使える」「パーツが7つ程度で、維持管理や修理がごく簡単だ」。

2007年5月7日付の私のブログに当時、朝日新聞のベテラン記者だった松本仁一さんとのことを次のように書いています。

朝日新聞の松本仁一編集委員、先般の第1回東京国際マラソンで2位になった谷川真理さん(東京女子マラソン第一回目の覇者、難民を助ける会理事)らと夕食をともにしながら、懇談する機会をもった。

松本さんは、東京新聞の清水美和(よしかず)記者(中国報道)とともに、2007年度日本記者クラブ賞の受賞者に選ばれた人で、アフリカ報道の第1人者。今回は、特にAK47(カラシニコフ)にまつわる、世界規模の取材で高い評価を受けての受賞だったと伝えられている。

2年前に、難民を助ける会が上智大学と共催した「小型武器に関するNGO東京会議」でも基調報告をしていただいた。

松本記者の著書のうち主要なものを挙げれば、
① カラシニコフ  朝日新聞社
② カラシニコフ2  朝日新聞社
③ アフリカで寝る  朝日文庫
④ アフリカを食べる 朝日文庫

夕食会場は、目黒のフランス家庭料理店「アージェント」。オーナーの杉本ユリさんは、WFP(世界食糧計画)のスーダン地区駐在代表の忍足謙朗(おしだり・けんろう)氏の実姉。同氏と松本記者とはつい最近もかの地でご一緒した仲と聞く。

当然、朝日新聞に連載した「カラシニコフ」の裏話やアフリカの少年兵の問題など深刻な話題が多かった。日本の国際救援NGOのアフリカでの活動についてもいろいろご助言いただいた。

ただ、共通して心配が一致したのは、サハラ以南のアフリカでの日本の存在の小ささだ。

人的には、マスメディアは新聞社がナイロビに支局をおいているのみ、共同通信がようやくナイロビと新たにヨハネスブルクに支局を開設した程度。外務省にしても全部の大使館を糾合してもスタッフは140人。

これでは中国にもかなわない。アフリカ問題に熱心な外交官も、S、K、S、Dの4元アフリカ駐在大使ぐらい。ODAも減少傾向であり、戦略・戦術に乏しい。

これでは来年のTICAD4(アフリカの開発に関する東京会議)をどうこういう以前の、日本外交の貧弱さというほかない。

では、マスメディアはどうか。

はっきりいって、64歳の松本さんを継ぐ、朝日のアフリカ専門記者は見当たらない。他社には? となると、もっと心もとない。正直言って、外務省が弱い、外交がダメだというより、日本全体があまりにアフリカに気持ちが行っていないのではないかというほかあるまい。

他方、谷川真理さんは、先日も、大井町で開かれた、難民を助ける会のスーダン事業報告会にも出てきておられた、アフリカに大きな関心を持ち続けてこられた方。

「アフリカはマラソン選手で注目されるほかはなかなか話題にならないのが残念です」

とおっしゃる。それでもいい。みんなで、アフリカに目をむけるきっかけを少しずつ広げてゆこうじゃないですか。

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