産経新聞(6月22日付)で、黒田勝弘特別記者が昨今の韓国人の対日対抗意識を浮き彫りにする、興味深い記事を書いている。柳 賢振(リュー・ヒョンジン、26歳)と日本人選手との対決に、「いかにも韓国らしい興奮」が見られるという、以下の記事である。
大リーグ・ドジャースで活躍するリュー・ヒョンジン投手
米プロ野球のメジャーリーグでは今、2人の韓国人選手が活躍している。その1人が韓国プロ野球でもスターだったリュー・ヒョンジン投手。今年、ドジャースに入団しすでに6勝を挙げているが、今週、日本人のイチローや黒田がいるヤンキース戦に初登板し、韓国では“日韓対決”と言って興奮していた。
韓国メディアの日本への過剰な意識は相変わらずだが、幸い(?)ヤンキースが勝ち事なきをえた。この日、ヤンキースはイチローのほか黒田も先発登板し“日韓対決”は盛り上がった。しかし結果はイチローがホームランを含め2安打で黒田が勝利投手になり「韓国完敗!」と悔しがった。
リューがイチローを抑え勝利投手にでもなっていたら大変だった。すべてのメディアがトップニュースで「対日戦勝利!」を喜んだに違いない。あるいは話題は日韓関係から日米韓の外交関係にまで飛躍し“韓国イケイケドンドン”になっていたかもしれない。
リュー本人はインタビューで「日韓対決などまったく意識しなかった。多くのゲームの中の1つと思っていた」と語るとともに、イチローのうまさに脱帽している。韓国は過去、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)でもイチローの1打にやられている。メジャー新人のリューにはいい経験になっただろう。
思うに、日本人はこの種の興奮を感じたのは1948年のロンドン五輪に参加できなかったとき、同じ日に神宮プールで水泳競技を行い、古橋、橋爪両選手が五輪最高記録を破った時くらいではなかったか。すなわち、1948年8月6日。男子1,500m自由形決勝dで古橋は期待通りに18分37秒0という、世界記録を21秒8も短縮する驚異的な記録で優勝を果たした。これはロンドン五輪で優勝したマクレーン(米国)の19分18秒5を大幅に上回る大勝利だった。さらに、2日後に行われた400m自由形でも世界新を樹立したのだった。
これと韓国の一連の騒ぎを同一視はできないが、>率直に言って、韓国の人たちの興奮ぶりには、なぜ今、なぜこれほどにまでに…という疑問を強く感じる。1965年の日韓基本条約発効前から韓国には何十回も行ったし、日韓関係の発展には早くから気を用いてきたつもりだ。尊敬できる友人も実に多い。韓国語も多少勉強したこともある。そんな私でも寛容にも限界があるし、いい加減にしてもらいたいというのがホンネだ。
歴史認識について昨今いろいろ報道されているが、日本人の多くには「なぜ、韓国の人たちはいまになって騒ぐのか」というのが率直な受け止め方ではあるまいか。それだけに、先日のサッカー場での横断幕掲揚の無礼やたびたび発生する理解しがたい行動にはあきれるほかない。
日韓両国は互いに引っ越しできない隣国であり、本当は相手の文化やものの考え方を一番よく解りあっているということもまた、常識ではないか。リュー・ヒョンジン投手の活躍には大いに期待しているし、イチローその他日本人の打者をバッタバッタとなぎ倒して見せてほしいとさえ思うが、安物の酒に悪酔いするようなマイナーな興奮にひたって喜ぶのは慎んではいかがと申し上げたい。