まもなく始まるワールドシリーズでは、今年もきっと試合前巨大な「星条旗」がグラウンド前に持ち出され、国歌「星条旗」のソロが響く。ただ、私の記憶ではそんな大きな旗が持ち出されるようになったのは、同時多発テロの「9.11事件」以降のような気がするがいかがだろう。
同様のサイズと思われる「星条旗」が2001年9月11日の「同時多発テロ」の後、最初にテキサススタジアムで行われたサンディエゴ・チャージャーズとダラス・カウボーイズのNFL戦開会式で同スタジアムいっぱいに広げて、捧げ持たれた。
実は私は、東京五輪以来旗の製作に携わってきた者としてお許しいただきたいのは、こういう報道に接すると、つい、あの旗を作るにはどれだけの費用がかかるのかと想定してしまうことだ。仮に10×19mの「星条旗」ならざっと1万ドル(97万円)はかかるように思う。50星を切り抜いて縫い付ける製法では1.5万ドルではすまないかもしれない。
ところで、これまでの世界最大の旗は?となると、実はよく判らない。
国旗についてなら、小欄でも以前、難民を助ける会の井上善雄駐在員から情報をもらい、タジキスタンの特大の国旗を紹介した。これは実際に国旗掲揚塔に掲げられている旗。ドバイでも巨大な国旗が掲げられている。朝日新聞の副島英樹モスクワ特派員によるタジキスタン訪問の記事と合わせると、ソ連崩壊から20年の2011年、中央アジアの山岳国タジキスタンは独立記念日の9月9日を前に首都ドゥシャンベに高さ165mもの国旗掲揚台を設置、ギネスブックに「世界一」と認定された。霞が関ビルや京都タワーを軽くしのぐ高さ。これは、前年9月に同じ旧ソ連アゼルバイジャンの首都バクーに建てられた高さ162m国旗掲揚台、さらにその前の北朝鮮の「宣伝村」にある高さ160mの国旗掲揚台を超えることになった。
トルクメニスタンの国旗掲揚台に掲げられている国旗の大きさは縦30m、横60m。重さは350キログラム。数百万ドルもの巨費をかけたそうだが、この貧困国がそれでいいものかと考えてしまう。
世界一の高さを誇る国旗掲揚塔に翻るタジキスタンの国旗