「世界国旗の歌 FLAG! FLAG! WORLD!」(作詞:吹浦忠正、根本喜未、作曲:崔 和傳)の2番は、
想い拡がる世界を夢見て ランランラン
国旗に希望と夢と未知の種を植えて世界はひとつ 地球の仲間
愛の手育めば
みんなの心が笑いだす
で始まります。そして、まず、東の隣国カナダの国旗です。
赤い葉っぱ カナダのシンボル 両脇の赤は海
みなさんは、『赤毛のアン』(Anne of Green Gables )を知ってますか? カナダの作家L・M・モンゴメリが1908年に発表した長編小説です。カナダの東部にあるプリンス・エドワード島での自分の体験を題材にしたこの作品は、各国語に翻訳され、世界の子供たちに読まれています。
メープルシロップとか、メイプルシュガーって知ってますよね。ホットケーキやパンにつけて食べた人もいるでしょう。これはカナダの大きなカエデの木から採ったジュースを練り上げたものです。カナダでは9月末から11月にかけて、首都オタワ、最大の都市トロントといった英語圏、そしてケベックやモントリオールといったフランス語圏など、さらには東部のプリンス・エドワード島などでも、山全体が真っ赤に見えるほどカエデの紅葉を見ることができます。ですから、カナダでは英語を話す人もフランス語で生活する人も、そして外国からの観光客も秋には紅葉の美しさにはみな感動するのです。
タディは? 感動もさることながら圧倒されてしまいました。やはり日本人には「赤や黄色の色美しく」と唱歌「もみじ」(高野辰之作詞、岡野貞一作曲)で歌われたように、さまざまな色が混じっているほうがいいように思いました。
ドイツの旗黒赤黄 統一めざした服の色
ドイツは中世から近代にかけて多くの小さな国々に分かれていました。ナポレオンとの戦いのころ、つまり今から200年近く前、ようやくみんなで一緒になろうという気運が起こりました。すなわち、1813年、ナポレオンと戦おうと大学生を含む義勇兵が「黒い軍服、赤い襟、金ボタン」の制服を着ていたのです。そして、1832年5月27日、イエナ大学をはじめとする学生たちなど3万の群衆が、「ドイツ統一」を叫び、ババリア領内にあるハンバッハの古城で「祭りの祝宴」を開いた時の旗の色がこの3色でした。これが、きわめて早い時期のこの旗を使用した例だと思います。その後、ドイツは1871年になって統一を果たしましたが、その時の国旗は黒白赤の横三色旗でした。今の国旗はそのドイツが第一次世界大戦に敗れた後の1919年からドイツ連邦共和国の国旗になりましたが、ナチス・ドイツの時代には「カギ十字旗」となり、1945年の第2次世界大戦の敗戦で、ふたたびこの国旗に戻ったのでした。
白青赤のしま おおきいロシアだよ
ロシアの面積は日本の約45倍、世界最大の面積です。人口は1億4千万ほどで、にほんより少し多いくらいです。ロシアの国旗は白青赤の横三色旗。17世紀の終わりにオランダを訪問したピョートル大帝がオランダの赤白青の国旗が気に入り、それと似たデザインの国旗を制定したことによるものです。
1917年のロシア革命から74年間続いた共産党政権の時は、赤旗に労働者を表すハンマーと農民の象徴である鎌の付いた国旗でしたが、1991年12月25日にそのソ連が消滅して、昔の国旗に戻ったのでした。
イタリア国旗はピザにもなってるね
日本国内で一番多く見かける国旗は、実は「日の丸」ではなく、イタリア・レストランで見る緑白赤の縦三色旗です。ピザやスパゲッティ、日本人のほとんどが大好きです。もちろん、タディも。
世界遺産のアンコールワット描いたカンボジア
アンコールワットは13世紀後半から16世紀前半にかけての長い歳月を要して、カンボジアの日地たちが建立したヒンズー教の寺院です。17世紀の初めには、今の佐賀県出身のお侍・森本右近太夫という人がここを訪れ、本堂の奥の柱に記念の落書きを書き残しています。20世紀の1970年から20年余り、カンボジアでは各派に分れての内戦状態にありましたが、1991年のパリ和平協定でようやくそれも治まりました。しかし、その各派ともアンコールワットを取り入れた旗を掲げていました。そのくらい、この寺院はカンボジア民族の大きな誇りとなっているものなのです。
ウガンダ国旗はカンムリヅルが 片足上げてるよ
アフリカの中央部にあるウガンダの国旗は国鳥カンムリヅルが一羽、片足を挙げている姿で描かれています。木の枝に止まることの出来る数少ないツルの仲間です。湿地や草地に棲み、時には数百羽もの大群でいることもあるそうですが、最近はやや生息数が減りかけているようです。大型動物が草むらを歩いた時に驚いて飛び出した虫やカエルを捕らえたり、自分の脚で藪からを虫などをかきだして捕まえることもあるのだそうです。上野動物園で見ましたが、とさかのところの金色の羽がきれいですね。
一番東のキリバス日の出 グンカンドリが飛ぶ
キリバスは南太平洋の日付変更線に最も近い位置にあります。20世紀の終わりに日付変更線を大きく東に移動させ、21世紀を最初に迎える国なったのです。国旗にはその日の出の様子が大きく描かれ、グンカンドリが飛んでいるデザインになっています。グンカンドリは水面近くを飛んで魚を捕えたり、他の鳥が採ったものを奪う能力の高い鳥として知られています。
レバノン真ん中 大きい杉の木だ
世界遺産に登録されている「レバノン杉」、かつてはフェニキア人がこれで船を造り、今のチュニジアやマルタなど、地中海沿岸にさかんに進出したのでしたが、近年は乱伐樹木の個体数が減り、日本の京都大学などの協力で、復活が進められています。
世界はひとつ 地球の仲間
笑顔でこんにちは
みんなの未来が光ってる願いと希望 国旗に込めて
地球の恵み みんなで守る
自然環境を大切にして、未来の人たちもすばらしい地球で暮らせるようにしたいものです。
黄河文明 栄えた中国 赤に五つ星
黄河流域は世界4大文明発祥の地です。今は中華人民共和国(中国)と言っていますが、その国旗は「五星紅旗」、大きな星は中国共産党の指導のもとに、4つの階級の人民が団結しようという国旗です。
野性動物いっぱいケニアは 真ん中タテとヤリ
東アフリカのケニアには広大な自然公園がいくつもあり、象、ライオン、キリン、シマウマなどがたくさんいます。国旗にはマサイ族の武具を描いたものです。マサイ族は勇猛さで知られているケニアの少数民族です。
サウジアラビア コーラン一節 メッカを守る剣
中東の一大産油国・サウジアラビアの国旗はイスラムの聖典『コーラン』の冒頭の一番大事な聖句を描いたものです。「アッラーのほかに神はなし。ムハンマド(モハメット)はアッラーの預言者なり」とアラビア語(右から左に読む)で書いてあるのです。大事な一節ですから、この国旗は必ず2枚を縫い合わせて、表からでも裏からでも言葉が正しく読めるように製作することになっています。
インド真ん中 チャクラを描いてる
インドの国旗はサフラン、白、緑の横三色旗。サフラン色は国民の多数を占める宗教であるヒンドュー教の、緑はイスラムの、白はその他のシーク教、ジャイナ教、仏教、キリスト教などの信仰を表しているものです。そして中央のしるしは、チャクラ(法輪)と呼ばれ、仏教の経典を集めた記念塔から採ったものです。この旗が最初にできた時は、独立運動の指導者マハトマ・ガンジーの思想を象徴して糸車(チャルカ)だったのです。ガンジーはインド人が綿花を生産し、糸を紡ぎ、布を織って自立すべきだという考えでした。しかし、ガンジーを継いだネルーはそのしるしがあまりに貧弱なこともあって、今のしるしに変えたのでした。この記念塔も世界遺産に登録されています。
愛と理解を国旗に乗せて
平和な明日 みんなが希う
地球の未来 心つないで
夢をつないで 愛をつなげて
この最後のフレーズは共同して作詞した二人と、すばらしい曲に仕上げてくれた崔先生の思いであり、祈りです。